ザ・キラーズがフジロック初日のヘッドラインに決定! 『Hot Fuss』20周年の記念すべき年。週末にNYフェスで観たばかりだけど最高だった。

pic by CHRIS PHELPS/GOV BALL 2024

ザ・キラーズが、フジロックの初日のヘッドラインに決定したと発表された。

これは、当初予定されていたシザが急遽キャンセルとなったため、その代わりとして決まったもの。ザ・キラーズと言えば、2009年にもフジロックに出演するはずだったがキャンセル。やむを得なかったとは言え、ブランドンにその後取材した際にも、「楽しみにしていた人達をがっかりさせて申し訳なかった」と気にしていた。

今回はその時の借りが返せる。絶対最高のライブになるはずだ。しかもちょっと恐ろしいけど、今年はなんと『Hot Fuss』の20周年記念でもある。

pic by CHRIS PHELPS/GOV BALL 2024

実は、週末6月7〜9日にNYで毎年恒例のガナバーズボールが開催され、その中日2日目のヘッドラインがザ・キラーズだったのだ。それを観たばかりなのだけど、本当に素晴らしいライブだった。

その時、チラッと彼らがフジロックに出たら完璧なのにと思ったのだ。というのも、いつ、どこで観ても、彼らをあまり知っていなくても、絶対に1人残らずエンターテインしてくれるライブだと改めて思ったから。皮肉なことに3日目のヘッドラインはシザだったのだけど。

ザ・キラーズのライブは何度も観ているし、フェスでも何度も観ている。前回同じフェスに出た際は、史上最悪かという大雨になり、でも彼らが登場する本当に1秒くらい前に雨がピタッと止んだ。それで出てきたブランドン・フラワーズがなんとピンクのジャケットを着ていて、それが本当に輝いていて、奇跡かと思えるくらいにカッコ良かった。大雨から一瞬にして我々の心を照らしてくれた。

pic by CHRIS PHELPS/GOV BALL 2024

今回の場合は、2日目の観客の年齢層が完全にZ世代で、彼らの直前に出演したのは、21 サヴェージ。会場が揺れるくらいの盛り上がりだったのだけど、この若い観客がザ・キラーズの時にザザーっと帰ったらどうしようと少し不安だったのだ。しかし、帰るどころかパンパン。しかも、終わってから駅までも道のりもかなりの混雑だったので、途中で帰ったりせずにみんな最後まで観てくれたということだ。

これまで観たその他のフェスでもいつもそうなのだ。今となっては、時代を超えたヒット曲が多すぎる。”Somebody Told Me”、“When You Were Young”から、”Human”から、当然”Mr. Brightside”から。

恐ろしいことに20年前のヒット曲もあるのに、彼らは大きく編曲することもなく、ほぼそのままで演奏。でも、そのままで最高で、全く古びないし、気持ちが初めて聴いた時と同じように上がるし、Z世代も笑顔で、楽しそうに踊ってる。その光景はずっと変わらないままだ。つまり、普遍的な曲ばかりなのだと、今回再び実感したばかりだった。だからフジロックに出れば完璧なのに、と思ったのだ。

pic by CHRIS PHELPS/GOV BALL 2024

興味深いのは、彼らは単独でイギリスでは9万人キャパのライブなどをやってのけるくらいなのに、実際会ってインタビューすると、ものすごく謙虚なこと。

ブランドンは、自分たちにはまだやれてないことがある、時間が足りないといういう感じで、まだまだハングリー精神がある。イギリスでは毎回1位を記録しているくらいだけど、日本ではなかなか売れないのはどうしてだろうと相談されたこともあったくらいだ。でも、2013年にスタジオコーストでライブをやった時の盛り上がりが、凄まじくて感動したとも言っていた。

つまり、まだ満たされない心があるから駆り立てるものがあって、走り続けているんだと思う。そして彼らは、いつも「僕らはキラーズです。素晴らしいネバダ州ラスベガスで誕生しました」と誇らし気に言うけど、いざステージに立つと、100%のショーマンシップを披露する。

フジロックの初日ヘッドラインにはぴったりなバンドだと思う。

pic by CHRIS PHELPS/GOV BALL 2024

以下最新のセットリスト。知りたくない人は見ないで。NYのフェスでは、なんとヤー・ヤー・ヤーズの”Maps”をカバーしてくれたのがさらに最高だった。下には書いてないけど、”Runaways”の時。
https://www.setlist.fm/widget?setlist=13aba18d




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