レッド・ツェッペリンが初めて公認して制作されたドキュメンタリー映画『Becoming Led Zeppelin』の日本の配給が、東北新社に決定した。Deadlineが報じている。
この作品は、バンドがキャリアで初めて公認したばかりか、バンドメンバーも全面協力し出演している。完成前のものが2021年9月にベネチア映画祭で上映されて以来、正式公開が待たれていた。インディペンデントで制作されたものを、ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが北米、南米などでの配給権を取得。日本の配給はどこになるのかこれまで発表されていなかった。
ベネチア映画祭で上映された時のティーザーはこちら。
現時点では、この映画がいつ公開されるのか発表されていないけど、勝手な予想では、元々ベネチア映画祭で未完成のものが上映されたのだから、今年9月にベネチア映画祭で正式に上映されるのでは?と思う。その後すぐ劇場公開なのではと。
または、去年のトーキング・ヘッズのように、ベネチア映画祭の後に同じく9月に開催されるトロント映画祭でIMAX上映ということも考えられる。どちらにしても、秋の映画祭で世界初上映されて、メンバーが集まってQ&Aに答えるということもあるのではないかと期待する。
この作品は、バンドメンバー4人のみによって語られるというのがまずひとつ特徴だ。
内容は、1968年のバンド結成から、1970年に世界一のバンドになるまで、バンド初期の時代に焦点が置かれている。ジミー・ペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロバート・プラントは映画の中で新たなインタビューに答えていて、ジョン・ボーナムは生前に行った未公開のインタビューの音声で出演している。これを見つけるのがいかに至難の技だったか、下のブログを参照。
さらに、バンドが初期にアメリカ、イギリスで行ったコンサートの未公開映像も含まれている。しかも、部分的に見せるのではなくて、1曲を完全に見せているそう。それに加えて、メンバーが個人的に所有していた未公開映像も観られるということ。
監督は、『アメリカン・エピック』というアメリカのルーツミュージックの歴史を4本のドキュメンタリー映画で描いたBernard MacMahon。
今作は、その時の共同脚本家でもあったAllison McGoutyと執筆している。
ベネチア映画祭の記者会見には、製作者の2人とジミー・ペイジが参加。映像はこちら。
ここで語られている内容については、2021年に上映された時にブログで一度書いている。
https://rockinon.com/blog/nakamura/200065
要約すると、製作者の2人は、バンドを説得するにあたり、徹底的にリサーチをして、脚本を書き、映画の始まりから終わりまでを絵コンテにして、革の装丁の本にしてジミー・ペイジにプレゼン。完成した映画は、ほぼこの絵コンテ通りだったそう。
ジミー・ペイジは、これまで一度もドキュメンタリー映画を公認しなかったのに、今回初めて公認した理由について、
「これまでの提案は、すべてツェッペリンの音楽以外についてばかりを描いたものだった。音楽そのものを描こうとした作品がひとつもなかった。どれだけ成功したのかばかりを描いていて、なぜ成功したのか描かれているものがなかった。この作品は初めて音楽そのものを描こうとしたばかりか、正確にそれが描かれていた」、と。
この後に長編映画にもしたいと製作者が言っているので、現在公開が待たれるボブ・ディラン映画のように、今後誰か俳優が演じて映画化ということも十分に考えらえる。
未完成版をベネチア映画祭で観た各メディアは、「革命的」などと絶賛していた。
とりあえず、今後の発表にも注目したい。
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