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    驚き。R.E.M.が約30年ぶりにメンバー4人揃ってインタビューに答える。ソングライター殿堂入りを果たす。

    驚き。R.E.M.が約30年ぶりにメンバー4人揃ってインタビューに答える。ソングライター殿堂入りを果たす。

    昨日の朝TVを見ていて驚愕した。なんと、R.E.M.のメンバー4人が一緒にテーブルを囲んで座り、インタビューに答えているではないか。大事件とすら言っていいくらいだ。

    実際、4人が一緒にインタビューに答えるのは、約30年ぶりのことだそう。昨日の朝はその予告編で、今日木曜日にインタビューの前半が放送された。この中で一番驚いたのが、ビル・ベリーが脱退したことを「後悔した」と語ったこと。「そのせいでみんなの関係性をおかしくしてしまった」と泣いてしまったことだ。彼がそんなことを言うなんて、メンバーもマネージャーも誰も思っていなかったそうだ。

    映像はこれ。

    なんで急に4人でインタビューに答えているのかと思ったら、R.E.M.がソングライター殿堂入りを果たし、木曜日にNYで行われる式典に出席するからということだった。

    R.E.M.の4人は、実は今年2月に、地元ジョージア州アセンズでステージに上がることがあった。これは俳優のマイケル・シャノンがR.E.M.のカバーバンドで全米ツアーをしていて、彼らがアセンズに来た際に起きた。

    それ以前は、1995年、ドラムのビル・ベリーがツアー中に脳動脈瘤破裂に見舞われ、回復したもののその2年後の1997年にバンドを脱退。バンドは、その後も継続したが、2011年に解散した。しかし4人は、2007年にロックの殿堂入りの時も揃って式典に登場している。

    この日も4人が集まって、お互いへの敬意を表していることに対して、マイケル・スタイプがインタビューの中で、「バンドの中には、それができない人達もたくさんいる」と言っている。実際そうだ。例えば、今年のロック殿堂入りでは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの4人のメンバーのうち、トム・モレロだけが出て、「バンド・メンバーの意見が合わない」と開口一番言っていたから。

    R.E.M.の場合は、解散したことで、その後の友情を保てたのだと思う。ファンにとっては、こうしてバンドが仲良さそうにしているのを見られるのは嬉しい。

    この超貴重な瞬間。以下語られていること要約したい。

    ●ソングライター殿堂入りについて。
    ピーター「曲がどれだけ強いかに、僕らの生死がかかっていた。だから、今回はすごく大きな光栄だ」
    マイク「それが一番難しいところであり、バンドの結成当時から最も力を入れていたところだった」
    ビル「そうする以外なかった。初期の頃は、そうしないと食えなかったから。だから、とにかく可能な限りの速さで書いていた」

    ●自分たちらしいサウンドを見つけることについて。
    マイケル「僕にとっては宿命みたいな感じだった。曲が書けた時は、これだと思えたから」
    マイク「(スタジオに)1時に集まって、それぞれのアイディアを出して、他のメンバーも良いと思うものがあればそこから曲作りをした。(3人でまず曲を書いてマイケルに渡す)マイケルは当然、世界一歌詞とメロディを書く才能がある人だ」

    ●”Losing My Religion”が即できてしまったことについて。
    マイケル「歌詞のインスピレーションは、覚えてない。ただ覚えているのは、元々は、『僕が台所にいる』だったこと。『スポットライト』ではなくてね。大好きな曲だけど、まさかヒットするとは思っていなかった」
    マイク「マルハナバチみたいな曲で、飛べないはずだったんだ。ヒットになるような曲じゃなかった」

    ●レーベルが常に次のアルバムを待っているプレッシャーについて。
    マイケル「ピーター・バックが一番僕らの次のアルバムを待っていたよ(笑)」
    ピーター「悪かったね。もちろんやりたくないことを無理やりやらせたつもりはないけど」
    マイク「誰かが電車を運転しなくちゃいけないわけだからね。ピーターがいてくれたおかげで、モチベーションになったから良かったよ」
    マイケル「振り返ってみて、ピーターが僕らを頑張らせなかったら、これだけの作品が生まれなかったと思うからね」

    ●解散について。
    ピーター「ビルの脱退の後に、僕らは、音楽的に、何ひとつ同意できなくなった。それが解散の大きな理由だ。どんな音楽を作りたいのかから、どうやってレコーディングするのかから、ツアーはするのかしないのかまで。それ以外の些細なことですら。夕食にどこに行くのかも同意できなくなったんだ。だけど、今はこうしてどこに夕食に行くのか同意できるようになった」
    マイケル「それに今こうしてバンドの物語を一緒に語れるし、テーブルを囲んで、お互いへの深い敬意を表すこともできる。一生の親友だ。そう言えない人たちもたくさんいると思うんだ」
    ピーター「僕らは正しい時に解散したんだと思う。あれが、バンドを終わらせる良い時だったんだ。良いアルバムができて、良いツアーをして、家に帰ったわけだからね」

    ●後悔したことはあるか?
    ビル以外の3人「ないな」
    マイク「すごく幸せだよ」

    ●ビルは脱退を後悔していますか?
    ビル「(ため息)もちろん後悔したよ(涙)。あれは、僕にとってはすごく変な時期だったんだ。でも僕のせいで、この3人の関係まで変にしてしまった」
    マイク「そんなことないよ。君の決断を100%尊重していたよ」
    ビル「そうだね。今こうやってみんなと仲良く一緒にいられるしね」

    ●それに大病をしたわけですから。
    ビル「それを言い訳にしたくないんだ。でもスイスで脳動脈瘤破裂に見舞われ、手術は成功したけど、自分の気力が下がっていた可能性はある。かつてのようなやる気が起きなかった。だから脱退を決めたのだけど。その時は当然後悔していなかった。でも、それから少し経って後悔したんだ。うん、まあ僕の話はこれくらいにしておこう(笑)」

    ●作品を見返して感動したりするか?
    マイク「そんな自己中心的なこと誰もしないよ」
    マイケル「僕はやるよ。YouTubeで自分たちのライブパフォーマンスを見て、わお、僕らがこんなことしたなんて信じれないって思ったからね。しかも、時々素晴らしいライブをしたと思うし」

    ●復活ツアーはどうしたら実現する?
    マイク「彗星の力かな」
    ビル「強烈な糊かな」

    ●ないってことですね。その理由は?
    ピーター「絶対にあの時みたいに良いバンドにはなれないからだよ」

    明日またこの後半が放送される予定だ。彼らに影響を与えたバンドなどについて語る予定。

    殿堂入りにあたりキーとして挙げられている曲は以下の通り。

    ”Losing My Religion”

    ”Everybody Hurts”

    ”It's The End Of The World As We Know It (And I Feel Fine)”

    ”Radio Free Europe”

    ”The One I Love”

    マイケル・スタイプは写真集を出したこともあり、トークショーなどをいくつか行っている。私もそのうちのひとつに行く予定だ。前回ロッキング・オンでインタビューした際は、ソロアルバムを作っていると言っていたけどどうなったのだろう。そこでR.E.M.の曲を再解釈したいと言っていたけど。去年の暮れにNYタイムズマガジンなどの表紙も飾っている。



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