Arcade Fire新作、アメリカのレビューも解禁!結果は?


Arcade Fireの新作『ザ・サバーブス』のレビューがアメリカでも解禁されました。第一弾は大絶賛です!その前に、もし山崎さんのレビューをまだ読んでない方がいたらまずぜひぜひ読んでください!
http://ro69.jp/blog/yamazaki/37521

で、次にSPINですが、10点満点中9点!なんで1点欠けるんだよ、と言いたくなりますが、内容は感動的。非常に長いですが、さわりとタイトルだけ。
「”Suburban War"という曲で、彼らは、ある男が昔の友達を思い出した歌を歌う。昔は一緒に髪の毛を伸ばして、フェンスをよじ上り、”ピュア”なものをかけて戦う場所へ脱走したものだ、と。それなのに、時間が経過して、いつしかふたりは、違うものをかけて戦うようになってしまった。友達は髪を切ってしまい、どこかへ消えてしまった。だけど、最近、その友達が通り過ぎたりしないかと思って、過ぎ去る車の中をのぞいてみるんだ。失われた関係を取り戻したくて。ふたりの人生がかがり火となる。遠くに輝く星になるのだ」。

「『ザ・サバーブス』は、何もかもが(インターネットで)繋がっているのに、心に触れるものは何もないという時代に住む僕らに、思いきり訴えかけてくる作品である」。アーケイド・ファイアは、「希望のない、心のない世界で、僕らの魂を救いに(再び)やって来た高潔なるロック集団なのである」と!

ローリング・ストーンは5つ星中4つ。これも1つ欠けてるんだけど、内容は感動的。超長いので大部分省略しますが、
「デビュー作で『葬式』と言ってしまったあと、それ以上どう成長していくのだ、と普通は思うが、このバンドにとって、それはまるで問題ではないようだ」。「『ザ・サバーブス』において、彼らは、再び、感動的な一撃を食らわしてくれたから」。

「『フューネラル』や『ネオン・バイブル』では、親から隠れる脅えた子ども達を描いてきたが、この作品では、例えば”ザ・サバーブス”において、『僕は若いうちに娘が欲しい。彼女の手を握って、美を見せてあげたい/すべてが破壊されてしまう前に』と歌う。つまり、ここで親の視点から家族というものも描いてみせたのだ。これはもちろんより難解なことである」。

「”70年代に建てられた家はすべて崩壊した/すべては無意味だった”と歌う世界に住むこの作品の登場人物達は、彼ら自身も含めみんな混乱している。名声で得た重荷に。”ビジネスマンがアートスクールのキッズが言ったように僕らの血を吸う”から。しかしかと言って概念だけのアート・スクールのキッズのことも信用してはいるわけではないのだ」。

「そして例えば”マンス・オブ・メイ”という曲では、ロックのオーディエンス達が『腕を組んでライブを眺める』人達になってしまった、とも語る。けれども、別に彼らは、そんなキッズ達を批判しているわけではないのだ。むしろそんな彼らをこそ、どこか優しく共感を持って描いてみせる。なぜならアーケイド・ファイアはこの『郊外』において、キッズの、そして、親達の、僕らのすぐ側にいるから」(涙)。

というわけで、歌詞が1行ずつ非常に深いのです。インタビューした時まだ歌詞がなかったのが痛いけど、みなさんアルバムを聴きながら、ぜひぜひ熟読してみてください。ローリング・ストーンには、例えばU2やブルース・スプリングスティーンの後継者であるにも関わらず、その歌詞が、スプリングスティーンほど具体的すぎないところが良いのだ、とも書かれていました。確かに、アメリカ文学で言えば、これまで息子と父というのは、例えば『ザ・ロード』のように、非常に重要なテーマですが、とりわけ”郊外”を描く時は。近くまでは言ってるけど、そこまで限定していない。

アメリカのメジャー音楽誌は今のところ大絶賛中!さて、ピッチフォークと、ピッチフォークレビューズレビュー(笑)が何と言うか楽しみです。
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