やっぱりトム・ヨーク病気だったんだ! レディオヘッドNJライブDAY2

やっぱりトム・ヨーク病気だったんだ! レディオヘッドNJライブDAY2

NJで行われたレディオヘッドのライブ初日についてレポートさせていただき、「中々乗り切れなかった」などという100年早い感想を書いてしまいましが。
http://ro69.jp/blog/nakamura/68604

その理由のひとつが分かりました!

6月1日に、同じ会場で行われた2日目を観たのですが、そのライブの最後の方で、トム・ヨークが、「昨日はボロボロの病気で一睡もできなかったんだ」と言ったのです。

やっぱり!

実は初日のライブが始まった瞬間に「トム・ヨークの声がおかしい」と思ったのです。それで何曲か演奏した後でこれは絶対トムは病気かもと思ったくらい何かがおかしかったのですが、病気とは思えないくらい狂ったように踊っていたので、病気じゃないのかも……と思い直したのでした。それに、5曲目の“The Daily Mail”をやった後くらいから、声の調子が整ってきて、ライブは徐々に良くなっていったので。うん、やっぱり病気ではないのだ、という結論に至りました。観客に病気を悟られないようにする、さすがフロントマン。感動です。でもやっぱり、何かしっくりこないところがあって、レディオヘッドの万全のライブではないと思ったのは、やっぱりトムが「ボロボロ」だったからなんですね。

納得。

しかし、レディオヘッドも最高じゃないライブをやることってあるんですね。当たり前だけど。個人的には大事件でした。

ちなみに、2日目はトムが始まってそうそうに、「ここまで(ニュージャージー)来るの大変だったよね。ったく金曜日の夜だっていうのにね。僕のせいだよ!」と言っていました。やっぱり、ニュージャージーだったことも調子を崩した原因だったのだと思います(笑)。

それで2日目のライブはどうだったかというと、これは病み上がりというか、一睡もしてないわけだから、病み上がってないのかもしれないんだけど、やっぱり万全のライブではなかったです。初日よりは全然良かったけど。

それで、初日もそうだったんだけど、本編の最後に演奏された“Ideoteque”でジョニーのプログラミングが上手く出なくて(たぶん)、演奏し終わった後、トムが笑いながらも、「ったく(FUCK IT)」って言って投げ捨てるようにステージを去って行ってしまう場面などがありました。トムが歌詞を忘れてしまうようなこともあったり。映像ここ。
http://www.youtube.com/watch?v=RMiZD6Zi2gk

かと思えば、“Everything In Its Right Place”の前にこの日はR.E.M.の“The One I Love”を演奏し(何度かやっていますが)、それがあり得ないくらい美しかったりもしました。だから全体としてはエネルギーは高いんだけど、ところどころ体が付いてきてない、というものだったのかもです。

また、この日はチベットの旗は掲げていましたが、アダム・ヤウクへのメッセージはなくて、その代わり、“The Daily Mail”の前に、「前回ここに来た時は、ローズランドでライブをしたんだけど、その時OCCUPY運動がNYで始まった時で、僕は実際そこには行けなかったけど、でも、彼らのやろうとしていることを僕は支持している。いまだ経済恐慌はここにあるままだし、それなのにウォール街で”罪を犯した”奴らはいまだにペントハウスに住んでいるわけだからね」というようなことを言いました。すいません。ちょっと記憶が曖昧で正確に引用できないいないかもですが、言っていたことはだいたいそんな内容です。

それで、私はこのツアーは、ローズランドでのライブも入れるとすでに4回観ていますが、4回観てようやく思ったことが。これは私の大仮想で、思いきり間違っている可能性もありますが、あえて書いてみます。このツアーは、バンドにとって、『In Raibows』で一旦ある章が閉じて、『The King of Limbs』という作品で、バンドがどれだけ根本的な改革を遂げたのかということが良く分かるツアーなのです。だから、『TKOL』とそれ以前の曲を続けて聴くと、そこに大きな隔たりがあります。いかにも、それ以前の曲を演奏しています、という風に聴こえるんです。

だけど、このツアーで大事なのは、だからこそ、すでに『TKOL』以降の新曲を演奏していること。

それは、『TKOL』を経たからこその、次のレディオヘッドの音になっていて、でも、『TKOL』よりも、過去の曲との結び付きが感じられる新たな王道サウンドの曲なのです。だから、『TKOL』から大変貌してまったく違うバンドになろうとしているのではなくて、『TKOL』を通過して根本的に改革された後で、レディオへッドらしいサウンドを鳴らしてみるということ。そうすると、どこか馴染みがあるんだけど、実はまったく別物になっている、すごいことになっているというのが良く分かるのです。ということを言っておくために、ツアーの初日から新曲を演奏したんじゃないかなあと思いました。それで、『TKOL』は、そういう作品だったからこそ、ライブで再現するのは、一筋縄ではいかず、だから長い間ツアーはしないという、バンド初の試みをしたのかなあとも思いました。

ちゃんと説明できてないような気もするし、この読みはまったく見当違いな可能性もあるんですけど、恥を承知で書いてみました。「ちげーよ」、というご意見、むしろ聞きたいと思ったので、皆さんどう思ったか教えてください。

あともうひとつ、ツインドラムの体制で非常に高度なことに挑戦していて、だからサウンドの再現がライブ会場によっては簡単じゃないのかも、というのも、ニュージャージーのあんまり音の良くない会場で観て思いました。

このツアーは演奏する側の難易度が高いし、内容的にはふたつの異なるケミカルを混ぜ合わせているようなものであるとも言えるので、だから、ライブ全体が、カタルシスに向かって上りつめていくような構成にするのがすごく難しいものかもとも?

…………ということを4回観てようやく冷静に考えるに至りました。最初観た時は大興奮でもう何がなんだか分からないうちに終わってしまったので(大変プロらしくありません。すいません)。

ただ、私がこれまで観たのは、純粋に最新作の単独ツアーなわけですが、それでは、フェスではどうするんだろうという疑問も残ります。もちろんコーチェラのウェブキャストでは観ていますが……でも、という疑問を持って、フジロック予報! 来週行われるボナルーで観てきます! 何回観れば気が済むんじゃ、という感じではありますが(笑)。またレポートさせていただきますね。

参考までレディオへッドのファンサイトが統計した、このツアーボストンが始まる前までの数字で分析&傾向と対策です。
http://www.ateaseweb.com/2012/05/29/radiohead-2012-world-tour-the-stats-so-far/

1)一番長いコンサート:24曲(マイアミ/ダラス)
2)一番短いコンサート:20曲(コーチェラ初週)

3)アルバムごとの演奏曲数

『Pablo Honey』全12曲中0
『The Bends』12/2
『OK COmputer』12/6
『Kid A』10/5
『Amnesiac』11/5
『Hail To The Thief』14/3
『In Rainbows』10/8
『The King of Limbs』8/8
『The King of Limbs』以降の曲 4/3
B-Sides他 3
新曲 3

4)新曲以外でライブで初めて演奏された曲
"The Amazing Sounds of Orgy”
”Meeting In the Aisle”

5)全ライブで演奏されている曲
"Bloom"
"Morning Mr. Magpie”
”Lotus Flower"
"Reckoner"
"Ideioteque"

6)一度しか演奏されていない曲
"Videotape"
"Packt Like Sardines In A Crushed Tin Box"
"Hunting Bears"

7)ライブ最初の曲
”Bloom"(17回中17回)

8)ライブ最後の曲
"Paranoid Android"(17/9)
"Idioteque" (17/3)
"Street Spirit" (17/3)
"Everything In Its Right Place" (17/1)
“Karma Police" (17/1)

9)”Everything In Its Right Place”のイントロとして演奏された曲
”True Love Waits"(4回)
"The One I Love" (REMカバー1回)
"Electrolite" (REMカバー1回)
"After The Gold Rush" (ニール・ヤングカバー1回)

10)トムが赤いパンツで出た回数:3回

勝手に付け足し(笑)
11)トムがポニーテールだった回数:たぶん全回
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする