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    『OK コンピューター』誕生の年、1997年の特別さを示すUKの傑作アルバム10枚!

    レディオヘッド史上、そして90年代のUKロック史上の歴史的傑作として名高い『OK コンピューター』の20周年記念リイシュー、『OK コンピューター OKNOTOK 1997 - 2017』がついにリリースされた。リマスターされたこのリイシュー盤は、間違っても1997年の名盤の「復刻」ではない。順に聴いていくと20年前の記憶が蘇ると同時に、もちろん新たな発見もあり、さらには記憶が修正&上書きされる感覚もあれば、逆に記憶が鮮やかに色づけされる感覚もあるという、過去と現在が複雑に入り組み、揺らぎ、押し寄せてくる、圧巻のリスニング体験を呼び起こす作品なのだ。

    そもそも『OK コンピューター』はレディオヘッドのキャリアにおいて非常に特殊な一作だ。前作『ザ・ベンズ』のような古典的なギター・ロックの名作ではないし、次のアルバム『キッドA』のような完璧な新時代を告げたエポックメイキングな一作でもない。当時まさに大きく変貌しつつあった彼らの音楽と詩世界が、そのスピードとカオスの中で過去と未来のギリギリのせめぎ合いを繰り返し、吐き出された歪な傑作が『OK コンピューター』なのだ。

    今回のリイシューのタイトルが「OK」と「NOT OK」のダブルミーニングなのも、「1997-2017」とハイフンで繋がれて、それが20年間「続いていた(終わっていなかった)」プロジェクトだったことを示しているのも、『OK コンピューター』がレディオヘッドの過渡期の命題であった証左だ。そしてそれは、あのアルバムがリリースされた1997年という時代性そのものも期せずして象徴していた。

    RADIOHEAD / OK コンピューター

    『OK コンピューター』誕生の年、1997年の特別さを示すUKの傑作アルバム10枚!

    それにしても、1997年のUKシーンは本当に面白かった。ブリットポップのバブルが弾け、その後の長きにわたるギター・ミュージックの停滞を呼んだ終わりの年としてのネガティブな評価の一方で、画一性が打ち壊され、新しいアイディアやイノベーションがいくつも生まれた始まりの年としてのポジティブな評価もある。ネガとポジ、終わりと始まりが交錯した年、まさに『OK コンピューター』的な過渡期、端境期の1年間だったのだ。

    Radiohead - Karma Police

    ここではそんな『OKコンピューター』を含む、1997年のUKシーンを象徴する傑作アルバムを10枚選んでみた。


    BLUR / ブラー

    『OK コンピューター』誕生の年、1997年の特別さを示すUKの傑作アルバム10枚!

    1997年のUKロックは、デーモン・アルバーンの「ブリットポップは死んだ」発言と共に、ブリットポップの誰よりも当事者であったブラーが、いち早く、そして明確にその終わりを告げた『ブラー』と共に幕を開けた。
    カラフルなメロディとシニカルな歌詞、つまり極めて英国的なマナーを廃し、グレアムのギターはぐっとノイジー&ラフになった本作は、ペイヴメントベックといった当時のUSオルタナからの影響を多大に感じさせる一作となっているが、何よりも彼らがここで『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』から3枚にわたり築いてきた定型を脱ぎ捨て、まるで二度目のデビュー・アルバムのように瑞々しいギターを走らせ始めた様は鮮烈だった。そう、このアルバムも『OK コンピューター』に匹敵する「終わりと始まりの交差点」だったのだ。

    Blur – Song 2


    CHEMICAL BROTHERS / ディグ・ユア・オウン・ホール

    『OK コンピューター』誕生の年、1997年の特別さを示すUKの傑作アルバム10枚!

    ブラーやオアシスがそれぞれにブリットポップの幕引きを模索する一方で、そのギター・ミュージックの混乱とはあまりに対照的なブレイクスルーを見せたのがケミカル・ブラザーズであり、プロディジーだった。彼らが1997年にリリースした2枚のアルバムは当時ビッグ・ビート、さらにはデジタル・ロックなんて呼ばれていたが、要するにそれは売れ線の「ポップ」にとらわれ硬直化するロックを尻目に、エレクトロミュージックが肉体性も、ライブの強度も、さらにはポップ・ミュージックとしての精度までも奪い去っていった、あまりにも鮮やかなメインストリームの形勢逆転だった。

    The Chemical Brothers – Setting Sun


    PRODIGY / ザ・ファット・オブ・ザ・ランド

    『OK コンピューター』誕生の年、1997年の特別さを示すUKの傑作アルバム10枚!

    プロディジーの『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド』は、英国内における80年代末からのロックとダンス・ミュージックの相互作用のサイクルすらも突き破り、全英全米ダブル1位という快挙を達成。オアシスの『モーニング・グローリー』ですら成しえなかった、圧倒的な成功だった。
    “Firestarter”を聴けば一発で理解できるのは、これはビッグ・ビートやテクノ以前に、何よりもパンクだったということだ。本来ギター・ロックが鳴らすべきだったパンクのカタルシスを、いかに当時のUKロックが忘れ去っていたか、ということだ。
    余談だが90年代末、ノエル・ギャラガーが「オアシスでもプロディジーのようなサウンドをやってみるのはどうか」と提案したところ、リアムに「プロディジーって頭にレタスくっつけたやつ?」と言われて諦めた、というエピソードも。

    The Prodigy - Firestarter

    次のページ5枚目はアンチ・イングランドの気運を象徴するポスト・ロックの傑作
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