デヴィッド・O・ラッセル監督作がトロント映画祭観客賞受賞。今年のアカデミー賞は絶対面白くなる! トロント映画祭その11


アカデミー賞に大きく影響すると言われているトロント映画祭の観客賞が発表された。

栄光の1位に輝いたのは、デヴィッド・O・ラッセルの新作コメディ『Silver Linings Playbook』だった。これはめちゃくちゃ面白い作品だったのでは個人的には非常に嬉しい。ただし、ベン・アフレック監督&主演の『アルゴ』も素晴らしい作品だったので、獲ってもらいたかった。『アルゴ』は2位だった。
http://ro69.jp/blog/nakamura/72832
http://ro69.jp/blog/nakamura/72688

どちらにしても、この1、2位作品の素晴らしいところは、内容的に深みがありながらも、大衆が存分に楽しめる作品になっているところだ。

ここ数年のアカデミー賞は、質的には良かったのかもしれないけど、いかんせん、知る人ぞ知る的作品が多かった。NYタイムズはそんなことないけど、もっと一般的なNYポストなんかは、今年のアカデミー賞で『アーティスト』が受賞した時に「誰も観たことのない映画が獲りました」と書いていて、大笑いした思い出がある。今年度のアカデミー賞はそんなことになはならないと思う。

たとえ絶賛されているアート系の『ザ・マスター』が獲ることになっても、『ザ・マスター』は今週末限定で公開されて、限定公開としては史上最高の興行成績を記録したから!

現時点では、どの作品もすごく良くできているので、今年のトロント映画祭で知り合いのジャーナリスト達と言っていたのは、ここから先は、どのスタジオが上手くプロモーションをするかにかかっているかもしれない、ということ。

そう考えると、『Silver Linings Playbook』というのは、オスカーなどに断然強いワインスタインが配給の作品だ……。ちなみに、ワインスタインは今年、『ザ・マスター』も持っているし、タランティーノ新作もある。どう転んでもワインスタインの作品が獲るということになりかねないかもしれない?!

そもそも、去年の『アーティスト』だって、『英国王のスピーチ』だって、ワインスタインの作品。「誰も観てもなくても」「完成度がまあまあ」でもオスカー獲りまくったくらいだから、みんなが観ていて、完成度が高かったら、どんなことになるやら……。

『Silver Linings』はそれでも、オスカーなどを獲りづらい一応”コメディ”の分野に入るので、個人的には応援したくなる作品ではある。とにかく、今年のアカデミー賞はこれまでになく盛り上がりと思う!

photo by Jeff Vespa
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事