スパイク・リー監督のマイケル・ジャクソンドキュメンタリー『BAD 25』を観た。トロント映画祭その10

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トロント映画祭で最後に観た映画は、スパイク・リー監督のドキュメンタリー映画、マイケル・ジャクソンの『BAD 25』だった。『BAD』の発売から25周年を記念して作られた作品だ。

この作品が素晴らしかったのだが、その理由は、彼の私生活や、世間的な評価、などは最小限に削ぎ落として、いかにしてこの『BAD』が生まれたのか、という彼のクリエイティビティを徹底的に暴くことによって、彼の才能を祝福しようとしているところだ。

マイケル・ジャクソン自らが撮影していたレコーディングの映像や、これまで未発表だった映像も公開されているし、当然クインシー・ジョーンズからスティービー・ワンダーなど当時のプロデューサー、コラボレーターの話から、エンジニアや、振り付け師まで、様々な角度でこの天才の才能を分析しようとしている。

マイケルは映画の中で、「僕の才能は、僕自身の中にあるわけではなくて、神のものなんだ」という発言をするのが印象的だが、つまり、その天才を証明する発言を、様々な人が読み解いてくれるというわけだ。

もちろん"BAD”のビデオを監督したマーティン・スコセッシのインタビューから、マイケル・ジャクソンの代表曲である”マン・イン・ザ・ミラー”が作ったGlen BallardとSiedah Garrettによるその曲が生まれた瞬間を語る映像、またマライア・キャリーからカニエ・ウエスト、ジャスティン・ビーバーまで彼なしでは生まれなかったアーティスト達のコメントも、スパイク・リーが素晴らしい編集のテンポでもって観せていく。本当に良くできた作品である。

最初に書いたように、人生のドラマではなくて、その才能のみが描かれているところが何より素晴らしく、彼の才能をこうして讃えるべきなのだ、と改めて訴えかけてくるような作品だ。
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