Shiggy Jr.『LISTEN TO THE MUSIC』:トリックプレイはいらない


このバンドはいいです。Shiggy Jr.、都内で活動中のポップバンド。

いつだっけな、今年に入ってからだと思うけど、ふとしたきっかけで前作の『Shiggy Jr. is not a
child.』を聴いて、これはヤバいと思って、ライヴ観たいと思いながらじつはまだ観ることができないでいる、でも絶対にいいに決まっているという確信だけはどんどん高まっていて、そこに届いたのが、7月16日リリースのセカンドEP。ファーストも好きだけど、この新作の突き抜け方はすごい。

ポップど真ん中であることに躊躇がない、というか、むしろポップど真ん中であることこそがホットなことである、という姿勢は明らかに時代の転換を物語っているし、それを形にするソングライティングのセンスとそれを120%で体現するヴォーカルのスター性は、このバンドがひとつのシンボルになるだろうことを予感させる。


Shiggy Jr.の音楽のベースにあるのは間違いなく90年代の渋谷系から現代のアイドルまでのJ-POPだ。それをストレートにインプットして、解釈して、今の気分でトリートメントするとこういう音楽になる。ちょっと前までだったら、こういうタイプのバンドは洋楽志向を取り入れてみたり、斜に構えたり、ひねりを加えてみたり、要するにちょっとトリッキーにふるまうことでJ-POPへの愛情を表現していたが、もはやそんな必要もない。切り口の角度ではなく、刺す深さの違いでポップシーンに切り込んでいく、そんな健全でタフでフェアな勝負。そこで重要なのは言うまでもなくクオリティなわけで、そういう意味でこのバンドは強い。ド直球なタイトルも、ファーストにあったサブカル感がきれいに取っ払われているのも、そういうことだと思う。


注目です。