東京カランコロン『UTUTU』全曲カウントダウンレビュー その1:夢かウツツか


あらためまして、あけましておめでとうございます。
今年もロック青二才をよろしくお願いいたします。

さっそくですが、東京カランコロンのサードアルバム『UTUTU』が1月14日にリリースされます。右から読んでもUTUTU、左から読んでもUTUTU、このどこから切ってもカランコロン最高傑作を、1日1曲ずつレビューしていきます。
リリースまであと13日!


1. 夢かウツツか

アルバムのオープニングを飾るこの曲は、1月5日から昼ドラのエンディングテーマとしてオンエアされる。タイトル的にも、歌詞の内容的にも、この『UTUTU』というアルバムのメインテーマだ。

一発でおいたんと分かるやたら上下動の激しいギターフレーズから、いちろーとせんせいのダブルヴォーカルへ。かみむー氏のパワフルなタム使い、ウィンウィンと動き回る佐藤全部のフレットレス・ベース、すべてのパートが一斉にアピってきて、いきなり耳が忙しい。賑々しい幕開けに、アルバムへの期待が膨らむ。

歌詞はいちろー。この曲はもともともっと暗い歌詞だったのを、『UTUTU』というワードでアルバムをまとめることが決まってから書き直したという。最終的には「ウツツ(現実)」と向き合って自分の物語をしっかり紡いでいこう、という前向きで力強いものになっている。

妄想や空想や夢物語ではなく、今ここにある日常を見つめてそこから踏ん張ってジャンプしよう、というのがこの曲、そして『UTUTU』アルバムの底を流れるテーマだが、それはそのまま、このアルバムを作っていたときのいちろーのモードでもある。だから、この曲は彼が彼自身に歌いかけているようにも聞こえる。そしてだからこそ、この曲は最終的に《単調な日々を弾むポップスに変えて》と「音楽」のことを歌うようになるのだ。

前作『5人のエンターテイナー』はまさに「東京カランコロンはこうありたい」という理想のアルバムだった。その理想に、いちろーは少しずつがんじがらめになっていったのかもしれない。それを解き放って、前に向かって突破する、そういう意思がこの曲には鳴っていると思う。


明日は2曲目“恋のマシンガン”について書きます。