佐藤千亜妃ときのこ帝国はどのように生まれ変わったのか

佐藤千亜妃ときのこ帝国はどのように生まれ変わったのか
きのこ帝国の“東京”は未だに超名曲だなあと思うのだが、4月29日にリリースされた“桜が咲く前に”と合わせて聴くと、ますます感動的。


現在発売中のJAPANで、佐藤改め佐藤千亜妃のインタヴューを掲載しているのだが、その中で彼女は「『フェイクワールドワンダーランド』はきのこ帝国にとっての『延命措置』だった」と語っている。それがどういうことなのかは記事を読んでほしいのだけど、確かに、ミニアルバム『ロンググッドバイ』から”東京”を経てアルバム『フェイクワールドワンダーランド』へと至る過程で、きのこ帝国は一度「終わった」のだと思う。しかしそれと同時に新しいきのこ帝国が胎動を始めてもいた。この”桜が咲く前に”はその産声みたいな曲だ。

明確に「過去」に別れを告げていた『ロンググッドバイ』、そして「今」を肯定する『フェイクワールドワンダーランド』は、簡単にいってしまえば世界と敵対することで世界とコミュニケーションを取ろうとしていたきのこ帝国の物語の、ひとつの決着だった。そしてその決着が着いたあとで、佐藤はきのこ帝国のライヴ活動をいったんストップさせるという決断をした。その中で彼女は改めて、きのこ帝国をやる意味、そこで表現すべきことを見つめなおしたのだと思う。そしてその先で生まれたのが、“東京”の主人公(≒佐藤)の10年前を描いた“桜が咲く前に”だった。

この曲は「今」だけではなく、その根本にある「過去」をも抱きしめ、受け入れる。そのことが何を意味するのかといえば、世界を敵対心によってではなく大きな愛によって肯定する、という向き合い方の本質的な変化だ。

ここからきのこ帝国の新しい物語が始まる。すばらしいと思う。”桜が咲く前に”、聴いてください。
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