宮崎朝子の歌は今日も本当にやばかった。彼女の歌はものすごくポップだし、上手いし、かわいらしいのだが、同時にものすごくデコボコギザギザしている。何かが過剰で、何かががっつり足りない。だからその声は特別になる。そのデコボコとギザギザが、空気を伝わって、聴いている人間の心のデコボコとギザギザにぱちっとハマるのだ。共感というよりもっとどうしようもなく、ハマってしまうという感じがする。それはその場に何万人いようと、いつだって一対一の関係だ。空の下のワンマンには、そんなSHISHAMOと僕たちの関係がはっきり出ていた。
野音だから開放的な空気になるんだろうなと思っていて、ある意味それはそうだったんだけど、むしろライヴハウスで観る以上に個人的な体験だと僕は感じた。指定席だったからかなあ。宮崎もMCでステージに出てきた瞬間緊張したと言っていたけど、それは観ている側もそうだったと思う。だからこそ、最初から最後まで感動的なライヴになった。
彼女のブレスの音に、僕はいつも何かギリギリの感情を感じる。アンコールで「あの、みんな、SHISHAMO好きですよね?」と宮崎は言った。そんなこと言わなくてもいいようなものだけど、確認したくなっちゃったんだろうな。