禁断の多数決のアルバム『アラビアの禁断の多数決』のどこがいいのかについて

禁断の多数決のアルバム『アラビアの禁断の多数決』のどこがいいのかについて

先週発売になった『アラビアの禁断の多数決』、聴けば聴くほどハマっております。
単純にポップでいいアルバムだから、というのもあるが、やはり禁断の多数決というコレクティヴそのものがおもしろい。

基本的に、禁断の多数決の音楽は、主題やメッセージにおいてではなく、スタイルの援用と古今のポップミュージックへのオマージュによって生まれている。彼らのスタンスを象徴するエピソードとして、「楽曲を作るより先にPVを作った」「PVを作るために集まったのがバンド結成のきっかけ」というのがあるが、これ、たぶんもっと身も蓋もなく勝手なことを言えば、「集まるためにPV作った」ということだろう。中心人物のほうのきかずなりは禁断の多数決を「擬似家族」という言葉で表現しているが、とにかく「家族」を集めるのが目的で、その他は全部手段だった、のだ。だから、禁断の多数決は自分の好きな音楽を引用したり改変したりすることに躊躇がない。

ただ、目的を達成するためには手段をうまく使うセンスというのが必要で、幸い、ほうのきかずなりという人はそのセンスが抜群だった。デビュー・アルバム『はじめにアイがあった』でも多数の引用がなされているが、そのどれもが、的確に換骨奪胎され、禁断の多数決でしかないものになっていた。

それを、さらに確信を持って進めたのがこの『アラビアの禁断の多数決』だ。アルバムタイトルからしてそう、アートワークからしてそう、それぞれの楽曲は言うまでもなく、ペダンチックといっていいような組み合わせの妙の嵐(下の“tonight,tonight,
tonight”のビデオでも、小林克也氏がフィーチャーされている!)。たぶんなのだが、彼らは禁断の多数決が何であるのかということに、かなり自覚的になっているのだと思う。だから、狙いがはっきりして、突き抜けている。突き抜けているから、ポップミュージックとしてより強いものになっている。ゆえにメンバーのキャラが立って、かえってオリジナル性が増している。その在り方は、すごく「今」の感じだと思う。

というわけで、聴けば聴くほどハマるわけです。とくにこの“tonight, tonight,
tonight”の中毒性はヤバい。こんなシンセポップ、いまどきアイドルでも歌わんぜよ。


ちなみに、この曲のミュージックビデオにはR18バージョンというのもあります。18禁なので直接は貼りません。観たい人は以下からどうぞ。

http://vimeo.com/78976583
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