カート・コバーンの幸せについて考える、『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』を観た!

カート・コバーンの幸せについて考える、『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』を観た!

こんなに愛に溢れたカート・コバーンの姿は観たことがない。苦悩とかトラウマとか死の真相とか重い部分が切り取られることの多いカートの半生だが、この公認ドキュメンタリー『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』はそうではない。「ロックスターの神話」というより、「コバーン家の肖像」であり、いかに彼が愛し愛されて生きたかという「愛の物語」でもある。中村明美さんが既にブログで語っているが、カートが生きてきたことを祝福するこの映像に、家族はとても救われただろう。観ていて心が温かくなった。もちろん、カートらしい辛辣で毒々しいイラストをアニメ化した実験的映像や言葉など、彼の頭の中を旅しているようなサイケデリックな感覚も忘れられないが。

「褒められることが苦手」だというカートは、同時にいつも「みんな大丈夫か、傷ついてないかを気にかける」子供だったという。幼児期のホーム・ヴィデオでは、妹のごっこ遊びにつきあったり、家族に極上の笑顔をふりまいたり、やんちゃでありながらもサービス満点だ。その頃のカートが、娘フランシス&コートニーとの日常を撮影した映像の中に地続きでいる。それがなんだか嬉しい。

金髪と青い目が愛らしい子供の頃のカートの姿はなんだか、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』のように見えた。(井上貴子)

『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』公開記念特集はこちら→http://ro69.jp/feat/kurtcobain_201505
RO7月号にも記者会見をはじめ記事を掲載中。

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