あの曲がず~っと頭をめぐっている人もたくさんいるはず、ラグンボーン・マンがついに日本にやってくる! ど迫力で温かいソウルフルな歌声が明日、苗場に響き渡るのだ。
“ヒューマン”が世界的に大ヒットし、今年2月にリリースしたデビュー・アルバムは過去10年間における男性アーティストのデビュー・アルバム初週最高セールスを記録。
ブリット・アワードW受賞も話題となり、なんと23週連続…つまり半年も全英チャートのトップ5に君臨し続けているのだ! とにかく今、イギリスでは、街中どこに行っても彼の歌がかかっているという。
15歳でヒップホップに目覚めてミックス・テープを作り始めた彼は、10代後半でブルースを歌い始めた。その後、弁護士の職についたが、それをやめて数年前から音楽に専念するようになったそう。
“ヒューマン”は、誰もが心の奥底で共感してしまうような、こんな自己懐疑の言葉から始まる。
〈おれはバカで 何もわかってないのかもしれない
そんなことはお見通しだし 裏側だって見抜けてると思ってるのに
それを証明する手立てがない 本当はろくに見えてないんだろう〉
そして次第に自分自身の問題から、コミュニケーションの深淵へと向かってゆく。
〈おれはただの人間 お前も人間に過ぎないのだから
おれに罪をきせないでくれ おまえの罪をきせないでくれ〉
〈おれはただの人間にすぎないのだから おれを責めないでくれ〉
ラブソングでもあり、あらゆるコミュニケーションの核心でもあり、弁護士であった彼自身が目にしてきた風景かもしれないが、
こんなにもヘヴィーな曲が、ハイブリットなサウンドと歌の力によって、ポップに街中に鳴り響いているのはすごいことだと思う。ポップ全盛時代への、いかにもUKらしい最新形の解答というか。
ロッキング・オン7月号でインタヴューを掲載しているが、ユニークな名前についてはこう答えている。
「ラグンボーン・マン(ボロ屋、屑拾い人)って何なのか、そこだと思うよ。
ラグンボーン・マンっていうのは、古いがらくただのジャンクだのを集めて売る職業のことでね。持ち主にとっては無用の長物になってしまった様々なものを集めて回る、そういう人なんだ。それってある意味、俺が自分の音楽でやってることに似てるよな、と思えた。
好きな古い音楽の持つ要素を色々と集めてきては、そこから何かしら新しいものを作り出しているわけだし」
ブルース、ヒップホップ、R&B、ゴスペル、レゲエなどを盛り込んだ多彩なサウンドと、人間への深い洞察力と愛こそ『ヒューマン』の魅力で、聴けばきくほど味が出る。まだ、アルバム全体を体験していない方は、今年ぜひ聴くべき作品だろう。
明日が待ちきれない方はもちろん、現地に行けない方も、この映像で盛り上がってください。(井上貴子)
『ヒューマン』
<国内盤CD: 全22曲>
国内盤限定ボーナス・トラック3曲追加収録
2,200円+税 / SICP-5321
<輸入盤CD/配信: 全19曲>
iTunes:
https://itunes.apple.com/jp/album/human-deluxe/id1173599790