英国及びウェールズを代表する国民的ロック・バンドとしてひた走ってきたステレオフォニックスにとって、2022年は結成30周年とメジャー・デビュー25周年をダブルで迎えるアニバーサリー・イヤーだ。彼らにとって3年ぶり通算12作目のニュー・アルバム『ウーチャ!』は、まさにその節目の年に相応しい超強力な一作となる予感がひしひしと込み上げてくる。
現時点で聴くことができるのは先行シングルの“ハンギング・オン・ユア・ヒンジス”と“ドゥ・ヤ・フィール・マイ・ラヴ?”の2曲だけだが、この2曲だけでもステレオフォニックスが彼らの中心軸たるサウンドに全集中したロックンロールをやろうとしていることが窺えるからだ。
ステレオフォニックスのアルバムの品質保証ぶりには定評があるし、そうでなければUKチャート1位常連の超現役バンドとして25年もサバイブすることは不可能だったはず。ただし彼らは常に同品質の作品を作り続けているわけではなくて、時には思いっきり渋くブルージーだったり、時にはポップの洗練を極めたりと、アルバム毎に方向性にはかなり変化がある。その変化には周期のようなものもあって、今回の『ウーチャ!』はバンドのベーシックに立ち返るタイミングだったということなのかもしれない。
“ハンギング・オン・ユア・ヒンジス”の豪快に振り下ろされるヘヴィ・ギターは中期の必殺技だし、逆に“ドゥ・ヤ・フィール・マイ・ラヴ?”の蒼いリリシズムは彼らの原風景だったりもする。ちなみにケリー・ジョーンズ曰く、本作はもともと25周年アニバーサリーのコンピレーションとして企画していたものだったのだという。そこで過去のアーカイブを探索していたところで数曲の未発表曲を見つけ、それらを再レコーディングすると共に新曲も書きおろし、最終的にオリジナル・アルバムとしてリリースすることになったのだとか。
つまり、過去の彼らが現在の彼らに影響を与え、シンクロ&融合して『ウーチャ!』を象ったということだろう。本作がフォニックスの中心軸の在処を示す作品になるという予感もまた、そんな経緯があるからこそだ。詳細はインタビューにて!(粉川しの)
ステレオフォニックスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。