「俺は自分自身の音楽的レガシーを作り上げるっていう強迫観念に憑りつかれるようになってた。
だから毎回、所属レーベルやファンがみんな腰抜かすようなもんばっかり作ってたわけだ」
本記事はトッド・ラングレンが自身のキャリアを彩った10枚のアルバムについて語ったインタビューである。
60年代末にナッズというティーン向けのポップ・バンドでキャリアをスタートしたトッドは、まずはエンジニアとして頭角を現し、その後ソロに転じて、希代のメロディ・メイカーとしての才能を開花させ、さらに創意工夫に富んだアレンジャー〜プロデューサーとしても、幾多の名曲・傑作アルバムを送り出してきた。
私見だが、70年代以降に台頭した音楽家の中で、信じられないほど良い曲を、それもきわめて大量に作り続けたという意味で、彼の右に出る者はいない。そのうえソウルフルでエモーショナルなボーカリストとしても超一流、ギタリストとしての腕も素晴らしい。すべての楽器を手がけてのワンマン・アルバムを早くから作っていた「10年早く現れたプリンス」でもある。ポップ史に現れた大天才のひとりであることは間違いない。
ここに挙げられるアルバムは必ずしも彼のベストというわけではない。挙げられてない中では『ミンク・ホロウの世捨て人』(1978年)が、全曲捨て曲なしの大傑作。ぜひご一聴を。(小野島大)
トッド・ラングレンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。