イアン・マクドナルドが2月9日に亡くなった。キング・クリムゾン、フォリナーの創設メンバーであり近年でもフォリナーの再結成ライブやニュー・バンドの話などもあったはずなのに……、ガンに侵されていたとのこと。それがちょうどキング・クリムゾンのドキュメンタリー・フィルム『In The Court Of The Crimson King』が3月のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)にてプレミア公開、トレーラーも発表され改めてこのドラマチックすぎるバンドの歴史を振り返る映像の正式リリースとの報に興奮していたところのバッド・ニュースには落ち込んだ。
イアンといえばフォリナーの創設、大ヒットで知られるが、やはりキング・クリムゾン初期の叙情性豊かなサウンドメイクに貢献し歴史的名盤『クリムゾン・キングの宮殿』でのマルチプレイがもたらしたものは、あまりに大きく、そんな人がフィルムの完成を待つようにして亡くなるのもクリムゾンならではか。
映画は映像作家Toby Amiesがディレクションしたもので、トレーラーを観ると18年から19年に行われたクリムゾンのワールド・ツアーを追いながらグループの歴史を、メンバーたちの証言や映像で振り返るもの。と言葉にするのは簡単だが、関わったメンバーだって20人以上、サウンド・アプローチも多々変化してきているだけに、どう切り取るのか、何を取り上げるのか、そして何よりも究極のラスボス、ロバート・フリップがどういう風に受け止め応対しているのだろうか、と考えただけで興味は尽きない。
トレーラーを観ているだけで嬉しくなる顔ぶれ、映像が並ぶ。この人の参加が稼働を決めた時期もあったビル・ブルーフォードや最初の一歩を築いたマイケル・ジャイルズ、ラインナップ1による69年当時の映像、ディシプリン・クリムゾンを語る上で欠かせないエイドリアン・ブリュー、そしてイアン・マクドナルド等々。それらがすべてハイパー・ライブを繰り広げる現クリムゾンへと収斂していくのだろうから、これはとてつもない一本に違いない。一刻も早い公開を!!!! (大鷹俊一)
キング・クリムゾンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。