ブルース・スプリングスティーン、情熱と歌ごころに満ち溢れたカバー新作にて愛を歌う!

ブルース・スプリングスティーン、情熱と歌ごころに満ち溢れたカバー新作にて愛を歌う! - rockin'on 2022年12月号 中面rockin'on 2022年12月号 中面

自身の原点を見つめ直す意味合いも含めて感動的だった2020年の前作『レター・トゥ・ユー』に続くブルース・スプリングスティーンの新作『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイヴ』だが、これがカバーアルバムである。

しかも、選曲が60年代から70年代にかけてのR&Bやソウルがほとんどで、どれもまだ無名だった頃のブルースが情熱をもって聴き込んでいたはずだと思わせる曲とパフォーマンスになっているところが最大の魅力だ。つまり、『レター・トゥ・ユー』に続いてブルースの原点を見せてくれるという意味で、とても感慨深い作品なのだ。

また、この選曲がかなりマニアックで、しかもブルース好みなものになっているのがたまらない。基本的に、カバー曲を次から次へと披露していく展開でしかないのだが、聴いていると、どことなく最初期の『アズベリー・パークからの挨拶』、『青春の叫び』や『明日なき暴走』、あるいはコンピレーション作品の『チャプター・アンド・ヴァース』に収録されていたごく初期の未発表音源で感じられた、ほとばしるような情熱を彷彿とさせるところが素晴らしい。そこがまさにブルースの原点を感じさせてくれるところなのだ。

ブルースは今回のリリースにあたって、歌を前面に打ち出したくて、それがゆえにカバー曲集になったということを語っている。事実、彼は『闇に吠える街』以降、現在に至るまで曲作りとアレンジに心血を注いできたわけで、歌そのものについては優先順位がとても低くなっていたとも説明している。その歌を解放させるという意味でも、原点を見直す作品になっているのだ。

どれも素晴らしいカバーパフォーマンスになっているし、あらためてそれぞれの楽曲の魅力を伝えると同時に、なるほどブルースが好きそうだなとも思わせるところも面白い。また、コモドアーズの1985年の“ナイトシフト”なども取り上げているのは、まさに歌優先なチョイスということなのだ。この曲のシンセアレンジもまたブルースの同じ時期の音を彷彿させてくれて、そんなところもいちいち納得してしまう内容なのだ。 (高見展)



ブルース・スプリングスティーンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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