現在発売中のロッキング・オン11月号では、アニマル・コレクティヴ新作のロングレビューを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=大鷹俊一
今の彼らにはいったいどんな風景が見えているのだろう。
去年の『タイム・スキフス』、そしてわずか1年半ほどの間隔でリリースされた新作『イズント・イット・ナウ?』は近年誰も作り得なかったスリリングな兄弟作であり連作でもあって、異なったアプローチながらも根底に流れる音塊に対する巨大な思いが、深い聴取体験へといざなっていく。
20年以上のキャリアを誇り、デビューした当時から極上の親しみやすいポップなメロディを持ち、幻視のまどろみを思わせるサウンドの心地よさが2000年代ならではのサイケデリアを常に味わわせてくれ、アニマル・コレクティヴにこれまで裏切られることはなかった。ボルチモアの幼馴染や仲間、エイヴィ・テア、パンダ・ベア、ジオロジスト、ディーケンらが自然発生的に音作りへの興味でつながり、エイヴィ・テアとパンダ・ベアで自主制作した『スピリット・ゼアー・ゴーン・スピリット・ゼイブ・バニッシュト』(2000年)によりインディ系ポストロック界隈で注目の存在となった。
その後のメンバーが不定形であったりする自由度満点な創作の流れは類を見ないものだが、そうした体験を踏まえて一段ステップを上がったのが名門インディ、ドミノ・レコーズから発表した『メリウェザー・ポスト・パビリオン』(2009年)のナショナルチャート13位という大ヒットだった。
しかしメインストリームでヒットしたからといって彼らの姿勢に変化はなく、エイヴィ・テアやパンダ・ベアのソロ作を始めさまざまなプロジェクト(最近ではパンダ・ベアとソニック・ブームとのコラボも!)でも同様だし、DVD『ODDSAC』(2010年)のようなオーディオビジュアルアルバムに挑んでみたりと挑戦的な姿勢は一貫して変わることはない。しかも常に軽やかにロック史をのみ込み、あれこれ遊んでいるところもこのグループならではの世界だった。(以下、本誌記事へ続く)
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