2022年10月、2015年にバンドを離れたトム・デロング(Vo/G)の電撃復帰が発表され、マーク・ホッパス(Vo/ B)、トム・デロング、トラヴィス・バーカー(Dr)による新曲“エッジング”をリリースしたブリンク182。エネルギッシュなトラヴィスのドラミングに、トムのやんちゃなボーカルがのってスタートする“エッジング”。これぞというキャッチーなメロディで掛け合うトムとマークの声が聴こえてきた瞬間は、3人のブリンク182が帰ってきたという喜びと、これだよねという懐かしさとで体温がぐっと上がる思いだったのではないか。
シングルから半年後の今年4月、米・カリフォルニアで開催された〈Coachella Valley Music and Arts Festival〉のステージで8年半ぶりとなる3人のライブで観客を沸かせ、そしてリユニオンツアーをキックオフ。北米でスタートしたツアーは年をまたいで続いていく予定だが、このツアー最中の10月25日(米10月20日)に待望のニューアルバム『ワン・モア・タイム』がリリースとなる。
シングル“エッジング”では、2000年前後にポップパンクとともに青春を送った人を歓喜させる甘美なノスタルジーも感じさせたが、アルバムはなんでもあり! 紆余曲折はあったがこの3人でつみ重ねてきた時間を楽しみ、「バンド」を味わいながら制作されたことがわかる内容になっている。“アンセム”(1999年『エニマ・オブ・アメリカ』)、“アンセム・パート2”(2001年『テイク・オフ・ユア・パンツ・アンド・ジャケット』)に続く、ニューアンセム“アンセム・パート3”でアルバムを幕開け、おふざけあり、80’S風あり、ハードコアなショートチューンからエモーショナルな歌が冴えるタイトル曲等、多彩な17曲が並んだ。
パンキッシュだがフレンドリーなサウンドでストリートカルチャーを呑み込み、ボーイズグループのパロディや全裸で街を走り回るMV等(今の時代はできそうもないが)ふざけたノリで大衆を巻き込んで、「ポップパンク」のひな型を作ってきたブリンク182。新世代バンドが登場しポップパンクリバイバルに沸く今、ラスボス登場たる大人の戯れを轟かせるアルバムだ。 (吉羽さおり)
ブリンク182の記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
Instagramはじめました!フォロー&いいね、お待ちしております。