この1枚こそが次世代モンスターバンドとしての幕開けか——ハードコアの常識を覆したマスターピース『NEVER ENOUGH』を、3つの視点から徹底検証!

この1枚こそが次世代モンスターバンドとしての幕開けか——ハードコアの常識を覆したマスターピース『NEVER ENOUGH』を、3つの視点から徹底検証!

現在発売中のロッキング・オン7月号では、ターンスタイルの新作クロスレビューを掲載!
以下、本レビューの冒頭部分より。

テクノ化したハードコアの宝石

涼しげなシンセの音が伸びて、リヴァーヴの深い声が届く。その音響とメロディは、まるで1980年代のニューウェーブポップのようだ。特にリヴァプールのバンド、The Lotus Eatersが1984年に発表した楽曲“German Girl”に似ている。次の瞬間、ディストーションがかけられたパワーコードと、輪郭のはっきりしたキックとスネアのコンビネーションが鳴り響く。ボーカルは高らかにメロディを歌い、曲全体としてエモーショナルハードコアの形態を纏いだす。ボーカル、ギター、ベース、ドラムがすべて消えると、シンセが小さい音で残り、柔らかい印象のキックが響きだす。4分音符二発と8分音符の三連を組み合わせたジャージークラブのビートが、控えめに、だが確実に、空間を侵食していく。一瞬音が消える。すると、ジャージークラブの三連を受けついだリズムで、攻撃的なハードコアパンクのサウンドが始まる。

ここまでが、ターンスタイル4枚目のアルバム『NEVER ENOUGH』の冒頭曲から二曲目頭までの描写である。ニューウェーブ、エモ、ジャージークラブ、ハードコアパンク。およそ5分のあいだに、4つのスタイルが出入りしている。このあとも、ラテンビートがあり、エレクトロニカがあり、ヘヴィロックがあり、ニューエイジがあり、ポップパンクがありと、サウンド様式が次々と入れ替わる。

特筆すべきはニューウェーブとインディからの影響で、“I CARE”や“SEEIN’ STARS”におけるコーラスのかかったギターを聴いていると、「あれ、ポリスとスミスを聴いてたんだっけ?」と思わずにはいられない。様々なジャンルを取り入れているだけでなく、そのサウンドの再現度が高い。それぞれのスタイルの旨味を理解したうえで、楽曲に取り入れている。再現度の高さがはっきり表れるのは、6分42秒の楽曲“LOOK OUT FOR ME”だろう。(伏見瞬)

(以下、本誌記事へ続く)



ターンスタイルの記事の続きは、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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