Lavtの“涙のスイマー”を初めてライブで聴いたとき、歌詞の通り大気圏を抜け出しそうなほどのエモーショナルな歌声と、爽やかな風を吹き込むような推進力のある演奏に息をのんだ。
初めて自分のことを歌にしたと本人は言っていたが、まさにLavtが歌を歌う理由がこの曲には詰まっているし、高いキーのサビを声を張り上げて歌う姿を観ていると、アーティストとしての決意表明をしているようにも感じられた。
そんな“涙のスイマー”のあとに発表されたのが、11月リリースのミニアルバムからの先行配信曲“欠片”だ。
Lavtのことを紹介する度に、これまで私は「明るさ」や「愛」といったキーワードを常に挙げてきたが、やはりそれは正しかった。いや正しかったどころか、あまりにもあたたかなポジティビティに度肝を抜かれてしまった。
“涙のスイマー”が自分の殻を破って世界に一歩踏み出すときの歌ならば、“欠片”は世界に飛び出したことで否が応でも見えてきてしまった自分の「ここが足りていないな」と思う部分すらも大切にすることで希望を見出す歌だ。
もちろん、欠点も含めて自分を愛するということは頭ではわかっていても難しい。だけど“欠片”では、誰かにその考えを押し付けるわけではなく、自分の弱い部分=欠片が《僕を照らしますように》と歌う自己暗示のような歌詞になっている。力強いメッセージだが、素直に受け取ることができるのはこのためではないだろうか。
《ただ愛していこう》とサビで声を張り上げるLavtの歌声を生で聴いたら、もっとポジティブなエネルギーをもらえるに違いない。また早くLavtのライブが観たい。(有本早季)
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僕が輝くためのポジティブな自己暗示──Lavt史上最もあたたかな歌“欠片”はどんな自分にも味方してくれる
2025.10.22 20:30