ロッキング・オン1月号「洋楽ベストアルバム2023」――選出作品:フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』はどんなアルバム?

ロッキング・オン1月号「洋楽ベストアルバム2023」――選出作品:フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』はどんなアルバム?

現在発売中のロッキング・オン1月号は、1年を締めくくる2023年洋楽ベストアルバム特集! アルバムだけでなく、リイシュー作品、来日公演、イベント、洋楽ライター陣による座談会、そしてジャンルを細分化したシーン別の徹底考察で、今年の洋楽シーンを徹底的に読み解きます。

今回は、選出作品の一部をご紹介!



【No.5】
フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』


この作品の背景にある物語が、もはや遠い過去のことのように思えてしまう。白い画面にうっすらとノイズが生じているかのようなアルバムジャケットの裏面には、全10曲の収録曲タイトルと「フォー・ヴァージニア・アンド・テイラー」という文字だけが配置されている。

前者はデイヴ・グロールの母親、後者は言うまでもなく長年のバンドメイトであり、共に2022年に逝去している。どちらも彼の人生に大きな影響をもたらしてきた存在であるだけに、その損失による痛手の大きさには計り知れないものがあったし、それはバンド自体の存亡にも関わる一大事であったはずだ。それが明らかなだけに『メディスン・アット・ミッドナイト』に続く新作の登場を期待することには無理があるのではないかと思っていたところに突然放たれたのが、この第11作だった。

バンドはこの作品の発売に先駆け、2023年5月には新たなツアーを開始し、7月にはフジロックのヘッドライナーのひと組として来日している。そうしたロックバンドとしての当たり前の日常が継続されてきたからこそ、もはや本作の発売情報が届いた時の驚きや、それまでに彼らが経てきた深刻な過程が、何年も前のものであるような錯覚をおぼえてしまうのだ。

しかしそれでも、本作を初めて全編通して聴いた時の、シンプルな感動の記憶は色褪せていない。あくまで平易な言葉で綴られた歌詞、同様に装飾とは無縁の音像からは、クリエーターとして“今”の心情を形にしなければならないという使命感以上に、音楽人生を先に進めていくためにこの局面にまっすぐに向き合おうとする真摯さが伝わってくる。(続きは、ロッキング・オン1月号にて)



「2022年の洋楽ベストアルバム」特集の記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


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