サマーソニック、フォール・アウト・ボーイとアリシア・キーズをヘッドライナーに世代もジャンルも超越するラインナップを発表! 今年の見どころや理想のサマソニ像を主催者が語る

●ビーバドゥービー、ワリスとDirty Hit組も、サマソニらしいアーティストです。

「そうですね。The 1975からの流れもあって、Dirty Hitのアーティストはうちと凄く相性がいい。ビーバドゥービーは僕らとしても推していて、サマソニで育って大きくなってほしいアーティストです。ヤングブラッドもそう。去年のマネスキンブリング・ミー・ザ・ホライズンが象徴的で、僕らはその次のスターを育てたい。だから彼にはBMTHのフェスにも出てもらったという経緯があるんです。ヤングブラッドはアニメとのタイアップまでつけて盛り上げようとしていて、そうやって日本発でバンドが大きくなって、それを再び海外に還元できるような状況が、また最近は可能になってきたと思ったのが、昨年のマネスキンなんですよ。サマソニでもそういう環境をどんどん作っていきたいんです。あと、この日にポーター・ロビンソンが入っているのが意外とカギです。ポーターはただのDJではなくて、ロックもオタク的なものも好きで、いろんなカルチャーにアクセスできるアーティストですよね。だから彼はずっとサマソニに出たいと言ってくれていて」

●ポーター自身も、サマソニのマルチカルチャーなラインナップを理解しているわけですね。

「そうです。あと大阪オンリーでゲサフェルスタインが出るので、ロックの日にポーターと彼がエレクトロニック系のアクトとして出演する、というのがポイントでもあります。ポーターはバンドで来るしね。そしていち早く発表したOfficial髭男dismもこの日です。彼らはFOBの大ファンで、共にスタジアムを盛り上げてくれると思います」

●ガッツリ固まりましたね。

「そう。まずはしっかりと、皆がサマソニで観たいアーティストを固めました。今のサマソニは洋楽だけではなく、邦楽からK-POP、アイドルまで様々なカルチャーを楽しんでもらえる場になっていて、その辺はこの後に発表になってきます。でもまずは、サマソニの本道と呼べるアーティストを最初に発表したかったんです。まずは、そのアーティストのファンにチケットを買ってもらう。そういう二段階で考えているんです」

●では、アリシアの日について教えてください。

「まずはやっぱり、カミラ・カべロとJ.バルヴィンというね」

●スーパースターが揃いました。

「カミラはここ何年もずっと日本でライブをやりたがっていて、やるならばフェスからだろうということでオファーを受けてくれました。J.バルヴィンもそう。彼は単純に日本が大好きだったりもして。家に日本風庭園を作ってしまうくらい(笑)。海外でカミラとJ.バルヴィンが出るとなると物凄いギャラになるわけですけど、今回、彼らはギャラを抑えてでも日本に来たい、サマソニに出たいと言ってくれたんです」


●アリシア、カミラ、J.バルヴィンと揃うと壮観で。

「今のポップシーンの最前線ですよね。FOBやプロディジーとはまた別の層に訴求するサマソニというか。で、昔はその二つを敢えて交ぜて、両日共来てください、ということをやっていたんだけれど、今は日によってはっきりコンセプトを分けるようにしました。お客さんのニーズもそうだしね。観たいアクトが2日間に別れたら、2日来るか、逆に1日も行かないという選択肢もあるわけですから。であれば、観たいものをできるだけ一緒の日にして、1日でも絶対に行こうと思えるようにしたほうが、誰にとっても幸せですよね」

●ちなみにaespaもこの日で、K-POPを集める感じですか?

「そう、aespaに、ちゃんみな(大阪のみ)もこの日ですね」

●ガールズデーですね。

「そうなんです。ガールインミュージックというコンセプトは、自分の中ではっきりしていました。ヘッドライナーからメインの3組は女性アーティストでいこうと。たぶん、サマソニ史上初めてだと思います。だからそうだね、今年は東京初日がロックデー、2日目が女性デーだという言い方もできますね」

●しかし改めて、J.バルヴィンが観られるのは凄いことですよね。近年のラテンブームを象徴するポップスターで。

「ね。コーチェラで言ったら今やヘッドライナーの前くらいで出ている人ですから。ラテンと言えば、今年もビーチステージはコンセプトステージになる予定で、1日目は2年前に星野源さんがキュレーションしたように、今年もあるアーティストにキュレーションをお願いしています。イメージとしては、90sのR&B、ヒップホップ的な感じになります。これも最近のトレンドの一つで。で、2日目のビーチを、できればラテンステージにしようと、今考えているんです。ただこれは凄く……ギャップがあるじゃないですか。世界的には今やラテンとカントリーが爆発的に盛り上がっているわけだけど、日本との温度差はどうしてもある。でも、やっぱりこの日はJ.バルヴィンとカミラというラテンを代表するスターがいるから、そのムーブメントを肌で感じてほしいなって」

●意義深いことですよね。

「うん、だから今めちゃくちゃ頑張っています。J.バルヴィンにしても、他のラテンアーティストにしても、サマソニでラテンのシーンを見せる意味を理解してくれていて、自分でスポンサードしようか、とまで言ってくれる人もいるんです」

●個人的にインフィニティ・ソングも楽しみなんですけど。

「彼らも2日目です。不思議なバンドだよね。古い例えだけど、フィフス・ディメンションみたいな(笑)。決まりきったジャンルやシーンとは別のところから出てきた人たちで。僕も注目しているアーティストです。イライジャ・ウッズもポップということで2日目ですね。本当に今年ははっきり傾向の分かれる2日間になります。あと、未だ発表はできていない段階ですけど、どちらの日もこれから追加で2、3組は海外の面白いアーティストが入ってきそうです。K-POPの比率は去年より少し下がるかな。で、洋楽と邦楽がメインのステージでは大体同じくらいの比率になるという。あと今年もサマソニ・バンコクがありますし、アジアのアーティストもエントリーしてきます。ソニックマニアはプロディジーと、ゲサフェルスタインを中心に今進めているところです」

●2月にリンキン・パークとグリーン・デイが来日しましたが、この2組はサマソニを象徴するヘッドライナーだったバンドですよね。そうしたビッグネームが、フェスよりもソロツアーに比重を置きつつある昨今のトレンド下で、今後のサマソニの、フェスの展望をどのようにお考えですか?

「リンキンだって、今回はヘッドライナーをやるには一番いいタイミングだったわけですよね。でも、グローバルで大きいツアーを組まれている状況では、呼ぶのが難しかった。それでも、例えばグリーン・デイにしても、来年はサマソニ25周年だから出てほしい、とオファーを出せば、彼らもちゃんと考えてくれると思います。実際、この前来た時にそれは伝えています。僕らクリエイティブマンは、それだけの関係性をアーティストやマネジメントと築いてきたんです。確かに昔よりはフェスのブッキングが難しくなっているけれども、今年は僕らもフジロックも、そうした現状を踏まえた上で、それぞれにベストなブッキングができたんじゃないかと思います」

※取材は2025/3/6に実施されました。


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