ボブ・ディラン最初期の7年間、その全貌に出会うレア音源満載の8枚組BOX!

ボブ・ディラン最初期の7年間、その全貌に出会うレア音源満載の8枚組BOX!

今年9月20日、ミネアポリスで行われた通算40回目となる「ファーム・エイド」(1985年のライヴ・エイドのときに、アメリカの農民にも支援が必要と言ったディランの言葉がきっかけで生まれた農家支援を目的としたイベント)に出演したボブ・ディランのセットリストがたまらんものだった。
“見張塔からずっと”に始まり、ボ・ディドリーのカヴァー“アイ・キャン・テル”からジョーン・バエズを歌ったと言われる名曲“ラモーナに”、そしてフォークからロックへの移行を象徴する“追憶のハイウェイ61”、最後は“くよくよするなよ”と最初期のナンバーをたっぷりと聞かせ、歌い終わりは例によって「どーだ!」と84歳の仁王立ち。さすがのティモシー・シャラメでもこれは出来ない。

そんな映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の時代を丸ごとリアル・ディランの歌声で聞かせてくれるのが、『ブートレッグ・シリーズ』の第18集『スルー・ザ・オープン・ウィンドウ(1956-1963)』デラックス・エディションだ。これまでもとんでもないレア音源をあれこれと出してファンを狂喜させてきた同シリーズだが、今回もすごい。ディラン15歳のときに故郷ミネソタでやっていたバンド、ジョーカーズと録ったロックンロールクラシックに始まり仲間内のパーティ的なものやデモ、リハーサル、アウトテイクなど、CD8枚に48曲の未発表演奏と38曲のレア音源を含む全139トラックが詰まっている(100枚以上のレア写真が載ったハードカバー本も同梱)。

中でもハイライトと言えるのが1963年10月26日、ニューヨークのカーネギーホール・ライブの完全収録だ(DISC7~8:全27曲)。「闘い宣言」にも聞こえる“時代は変る”で始まり、ストレートな歌声の“風に吹かれて”“はげしい雨が降る”に込められた反戦への思いは、改めて現代にも有効であることを思い知らされるし、最後を締めくくる“船が入ってくるとき”には時代を変えていくのだという決意がみなぎっている。そんなディランの歌心が今年のファーム・エイドのステージにもつながっているのだから、圧巻のひと言だ。(大鷹俊一)



ボブ・ディランの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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