テイラー・スウィフトと『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』の勢いが止まらない! 同作は発売初日に270万枚を超えるセールスを記録し、リリースから約3週間が経った10月23日現在(原稿執筆時)でもなおアルバム、シングル(“ザ・フェイト・オブ・オフィーリア”)共に全米&全英1位を独走中だ。また、特別上映された映画『TAYLOR SWIFT | THE OFFICIAL RELEASE PARTY OF A SHOWGIRL 』は3日間の限定上映で50億円近くを稼ぎ、北米ボックスオフィスで首位に立つなど、今秋のポップシーンは(またもや)テイラー一色になっている。
もはや作品の内実以上にセールスに関する報道が目立つ事態になっているのだが、それは同作がテイラーのポップ回帰を、売れることを前提にした確信犯的一枚であることと無関係ではないだろう。マックス・マーティンをプロデュースに迎えた本作『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』には、『1989』まで先祖返りした無邪気なポップもあれば、『ミッドナイツ』期を想起させるセンシュアルなポップもあり、『フォークロア』的な他者視点のナラティブもある。つまりサウンド的には様々なのだが、とにかくその全てが圧倒的に「軽い」。サブリナ・カーペンターとやった表題曲ではサブリナ固有の軽さが埋没するほど、全体のトーンが思いっきりライトであっさりしているのだ。
TikTokでのバイラルを狙い、あらかじめ切り取り線を示すようなキャッチー&コンパクトなフレーズをあちこちにちりばめ、あっという間に駆け抜ける同作は、最終的に35曲まで膨れ上がった重くシリアスな『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』と見事な対照を成す12曲41分だ。婚約し、幸せの只中にいるテイラーの心境が反映されているのは言うまでもないだろうし、《欲しいのはあなただけ、あなた似の子供が生まれるの》と歌う“ウィッシュ・リスト”を聴くと、彼女が孤独と喪失の底に沈んでいた前作との対比にしみじみ良かったね(泣)……と思う。同時に今、完全に幸せになったテイラーは、哀しみを音楽の中に解き放つことで紡がれてきた彼女の物語は、これからどこに向かうのだろう?とも考えている。(粉川しの)
テイラー・スウィフトの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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