これはもう、年間ベストライブ候補最右翼と言っていいだろう。もちろんデフトーンズの話である。5月18日、実に15年ぶりとなる単独来日公演が、彼らにとって過去最大規模となる東京ガーデンシアターで開催された。会場には往年からのファンのみならず、前回来日時にはこのバンドを知らなかったはずの世代も集結し、文字どおりの超満員に。外国人客の多さ、男女比の偏りのなさにも気付かされたが、それ以上に実感させられたのは「揺るぎなく貫かれているものには、いつか好機が巡ってくる」ということだった。
彼らはこれまでメンバーの他界を含む紆余曲折を経てきたが、その音楽スタイルが極端に変わったことはない。そしてそれは、変わり続けていく時流の中で斬新なものとして持て囃されたことも、変わり映えのないものと見られがちなこともあった。ただ、ここにきて再評価熱が高まり、SNSなどを通じて拡散をみせるようになった理由は、結局はその音楽自体の説得力にある。モダンヘヴィネス、メタル版レディオヘッドなどと呼ばれてきた彼らの音楽は、今や独自性の高い普遍的なものとして支持されているのだ。
最新作『プライベート・ミュージック』からのみならず過去作品からもバランス良く選曲された演奏内容には、まさに痒い所に手が届く心地好さがあった。映像や照明効果を駆使したステージングも、音世界への没入感をいっそう高めてくれた。今現在、創設メンバーのひとりであるステファン・カーペンター(G)は健康上の理由によりツアー活動から離れているし、バンドはサポートメンバーたちに支えられた状態にある。ただ、そのバンドサウンドにはいまどきの教科書には載っていない人間的な重みがあり、チノ・モレノ(Vo)が発するオーラには、成熟したエロティックさがあった。その官能美は、まさにこのバンドにしか醸し出し得ないものだ。チノは、あれこれ美辞麗句を並べるまでもなくシンプルに感謝の言葉を重ね、これまでやや疎遠だったこの国にもっと来てくれることを約束してくれた。その言葉を、僕は信じている。(増田勇一)
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