ペイヴメント→ジェイミー・カラムという2 デイズ

ペイヴメント→ジェイミー・カラムという2 デイズ

今日はZEPP TOKYOで行なわれたジェイミー・カラムのライヴへ。

ジャズ畑発だけあって演奏技術の高さについては言うまでもないし、楽器を演奏するために生まれてきたような人だが、この人のライヴの醍醐味は、それさえもあっさりとユーモアにしてしまうところ。ヒューマン・ビート・ボックスを口でやって、それを手動でループさせて、ピアノの腹を叩いてパーカッションを重ね、おしゃれなコード進行を余裕で弾く。憎たらしいほど、この人はなんでもできる。ヴォーカリストとしての実力も折り紙つきで、今日はオール・スタンディングの客席まで出てきて、柵の上に立って、マイクを通さずアカペラを披露するなんてこともやっていた。こうなると、もはや大道芸人である。しかも、曲もしっかり書ける。というわけで、この人のライヴがよくないわけがないのだけれど、彼のライヴを観ながら考えてしまったのは、昨日のペイヴメントである。

演奏技術なんてどうでもいい。芸になっているかなんて、ハナから気にしちゃいない。内輪向けのパーティー・ミュージックでもなければ、前衛と名のつく表現でもない。つまり、ペイヴメントは、ジェイミー・カラムと対照的なアーティストと言える。普通に考えれば、ペイヴメントみたいなバンドをやるほうが簡単なはずだ。けれど、昨日の公演を観て、とにかく痛感したのは、ペイヴメントというバンドにしか醸成することのできない空気としか呼びようのないものがあることだ。それは、ギターのひしゃげたディストーションにも、ボブの絶叫にも、ぶっ壊れそうなのに骨太なグルーヴにも、もちろんマルクマスの歌詞にも、すべてに表れている。そして、今回の再結成は、その空気さえをも再現することができるかどうかにかかっていたのだと思うのだけど、あっさりと言っていいほど、その空気は再現されていた。大体、飛行機が遅れて、公演ギリギリに到着するというのが、なんともペイヴメントだ。

もちろん、今日のジェイミー・カラムも素晴らしいライヴだった。ジェットコースターのような2時間。すごく対照的なライヴを観た2日間だった。(古川)
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