日経ライブレポート「ジ・インターネット」

フェスを含めると4回目の来日になる。デビューして7年強なので、かなりの頻度で来ていることになる。当初から日本での人気は高く、この日の会場も超満員だった。「ネオ(新しい)・ソウル」と呼ばれるモダンなR&Bやソウルミュージックを代表するアーティストで2015年度には最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞でグラミーにノミネートされた。

ただ、ネオ・ソウルといっても日本人には、むしろオーソドックスなソウルミュージックとして聴くことのできる分かりやすさが彼らの音楽にはあり、その辺が日本での人気の要因になっている。

3年ぶりの新作「ハイヴ・マインド」では、これまでのソウルサウンドにファンクビートを大胆に取り入れ、新しい世界観に挑戦している。そのファンクビートもどこかクラシカルなテイストで、その辺が彼ららしい。米国本国においては、それがマニアックなアプローチになっていたりするが、日本人にはブラックミュージックの王道感の継承として受け止められていく。

ライブの1曲目はその新作から「カム・トゥゲザー」が演奏された。骨太なファンクビートが強烈で、バンドが新しいレベルに来た手応えを最初から感じさせてくれた。

ヴォーカルのシドのキュートさは相変わらずで、歌の素晴らしさは無論のこと、トークから伝わるキャラクターの魅力はこのバンドのライブの大きな武器となっている。

今、R&Bやソウルからたくさんの優れた作品が生まれ、豊かな時代になっている。何がネオで何がクラシックなのかも、いい意味で混沌としている。そんな時代を象徴するバンドのライブとして楽しめた。

2月26日、新木場スタジオコースト
(2019年3月12日 日本経済新聞夕刊掲載)
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