エイフェックス・ツイン

エイフェックス・ツイン

これぞリチャード・D・ジェイムス、これぞエイフェックス・ツインというようなライヴだった。初っ端からラストまで、奇矯で暴力的なビートの嵐が吹き荒れる約2時間。イノセントと狂気の境界線のような無垢さを醸し出すエレクトロニカ。ひたすら硬質で攻撃的な高速ドリルンベース。強烈だった。

映像も、歪んだ人の顔がビートにあわせて震えていたり、とにかく不気味でダークなもの。その一部がジャケでお馴染みの「リチャード・D・ジェイムスの顔」にモーフィングしていくような展開もあったりする。

オリジナルアルバムのリリースは01年以来沈黙。来日も7年ぶり。それでも何故、彼の音楽は刃の切っ先のような鋭さを失わないのか。なんでだろう。よくわからない。エイフェックス・ツインの音楽は世界の”歪み”への告発みたいなものなんじゃないだろうか……などと考える。

最後に耳を覆わんばかりのノイズと共に流れていたのは、人や動物の死体、人の形が崩れていくような映像。

とんでもない余韻を残して、彼は去っていった。
(柴那典)
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