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丁寧に時間をかけて紡がれたことが感じられるボーカルの旋律が、まず心に残る。震えるような怖さを内包しながら立ち上がるヴァース。不安を吹っ切りながら、大らかに広がっていくコーラス。《全部忘れて歌えたらいいのに》という切実な歌詞を解き放つ大サビ。おそらく清水依与吏は、何度も何度も練り直しながら、このメロディを作り上げたはず。「まだ何かあるはずだ」と追求することをやめず、自分自身の限界を少しずつ広げようとする姿勢は、“幕が上がる”の最後に記された《強くありたい》というフレーズと呼応している。クラシカルな弦の響きで清水の歌をしっかりと際立たせる、小林武史のアレンジとプロデュースワークも素晴らしい。歌詞のモチーフは、ステージにいるときの感情。取り繕ってもかっこつけても意味はなく、やれることをやるしかない状況に向き合いながら、強くなりたいと心から願う。ライブにおけるback numberの在り方が音と言葉によって結晶化された、とても重要な楽曲だと思う。(森朋之)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より)
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