おめでとう!アジカン。結成20周年お祝いの言葉を書きました(JAPAN最新号コラム『激刊!山崎』より転載)
2016.05.02 18:45
アジアン・カンフー・ジェネレーションは今年で結成20周年。
バンプ・オブ・チキンも同じく今年で結成20周年です。
ドラゴンアッシュも、くるりも同じく結成20周年。
アジカンとバンプとくるりとDAって………まさに21世紀になってからの日本のロックのカルチャー/カテゴリーのそれぞれ象徴のような存在ですよね。
ということは、20年前の1996年はかなりミラクルな年だったということになります。
こういうことってあるんですよね。宇多田ヒカルとCoccoと松任谷由実がの誕生日が1月19日で同じ、とか。
(あんまり関係なかったですね)。
というわけで今月号のJAPANはアジカン結成20周年記念特集号です。
実は、JAPANではあまりこういう「●周年特集」みたいなことはやらないんです。「アニバーサリー企画!」みたいなやつ。
ついつい「どうでもいいじゃん、●周年とか」、って思ってしまうんです。
いや、メンバーやスタッフやファンが祝うのはもちろんいいと思うんですけど、でも身内でもない一介の音楽雑誌が図々しく祝うことはないだろうと。
その役割ではないだろう、と。
素晴らしいアルバムを作ったり、素晴らしいツアーを成功させたりすることに対しては誌面で暑苦しいまでに祝福するけれども、でも「結成してから何年」とか「デビューしてから何年」とか、それは音楽雑誌として評価するべきポイントではないだろうと思っていたんです。
そもそも僕、誕生日をお祝いとかするのもされるのもまったく興味ない人間ですからね。
そういう僕の性格が雑誌の編集方針にも影響しているのでしょう、申し訳ないとは思いますが。
でも今回、僕はアジカンの結成20周年をお祝いしたいと思いました。
長いことJAPANを読んでくれている人ならわかると思いますが、こんなに「お祝いモード」のJAPANのアジカン特集は初めてです。
これまでのJAPANのアジカン号はどれも、生真面目でストイックでガチンコなものばかりでした。
でも今回はこれまでとはまったく違う、愛と感謝とリスペクトをアジカンに注ぐような、そんな号を作りたいと思いました。
なぜ、アジカンに対して「周年を祝いたい」という気持ちになったのか、最初は自分でもよくわかりませんでした。
でも、作っている内に、はっきりとわかってきました。
それはつまり、
「アジカンに対する評価や感謝や尊敬は、みんなのそれぞれの心の中にはあるけれど、ちゃんとした言葉になってみんなで共有し合えてないんじゃないか?」
ということでした。そして、
「ならば、音楽雑誌がメデイアとして、みんなの心にあるアジカンに対する思いを言葉にして共有し合う『場』になればいい」
と思い、そこから、
「それにもっともふさわしい『場』として、『祝!アジアン・カンフー・ジェネレーション結成20周年特集号』を作ろう」
というふうに思いとイメージが定まっていったのでした。
アジカンの音楽は、なにか心を掻き立てる音楽です。
時には「癒やし」とか「安心」の歌もあるけれど、それよりも、眠っていて言葉にならなかった感情を掻き立てて、どうしても進む気になれなかった体をなんとか押してくれる、そういう音楽です。
力を貸してくれる音楽。でもいつまでもしつこくつきまとったりせず、また力が必要になった時や、力が必要な新たな世代ためにいつでもシーンの真ん中にいてくれる音楽。
それがアジカンという存在だと思います。
今回の特集で米津玄師がくれたコメントで「酸素のようなもの」という表現があったけれども、本当にそういうことだと思います。
誰もあえて言葉にしようとしないほど、アジカンは当たり前のようにいつも音楽シーンを支えてくれている。
そんなアジカンだからこそ、あえてお祝いの20周年号を作ろうと思ったのです。
みんながアジカンからもらった力や、みんながアジカンに抱く愛と感謝と尊敬が言葉として「可視化」された特集になったでしょうか。
そして、それを共有してもらうことはできたでしょうか。
総編集長 山崎洋一郎
(JAPAN最新号コラム『激刊!山崎』より転載)