「アーティストと写真」について書きました

「アーティストと写真」について書きました
 今月号のMONOEYESの写真は東京都内で、いわゆるストリート・スナップという感じで撮りました。
スナップとは言っても、わざわざ楽器も持ってきてもらったし、撮影用の車(ピックアップトラック)も用意したし、ポーズも取ってもらったし、多少はセットアップされた撮影にはなりましたが、スタジオでの撮影よりはぐっと自然体に近い表情や動き、メンバー4人の関係性や空気感が表現できたと思います。
なにより、MONOEYESのようなロックバンドはやっぱりストリートが似合う。
 
そしてBUMP OF CHICKENの写真も今回はスタジオではなく屋外で撮りました。
久しぶりです。
都内の広い屋外スペースで、やはりスナップぽく撮りました。
ちょうどメンバー側の気分も今はそんな感じで、藤くんの黒スリム・ジーンズに古着の軍モノなんてずいぶん久しぶりのコーディネートだし、しかもドクターマーチンのブーツにサングラス! 
メンバー4人で適当にほっつき歩いてもらってパシャパシャとラフに撮るフォトセッションがうまくハマったと思います。
BUMP OF CHICKENのこんな写真、かなり久しぶりでしょう。
 
KEYTALKの撮影の担当は僕ではなくて小柳だけど、こちらも思いっきり野外、しかも海で、やはりラフな感じの弾けた写真に仕上がってますね。手に持ったビールも今回はビーチということで大ジョッキじゃなくてボトルです(笑)。
 
 
というわけで今月号はスタジオ撮影が少なく、野外ロケ撮影が多い号になりました。
そしてライブ写真も多いです。
ONE OK ROCKも、RADWIMPSもライブ写真だけで10ページ以上の記事を構成して、[Alexandros]はライブ写真+密着オフショットで14ページもの記事を構成しました。
ちなみに先月号は、表紙巻頭の星野源もスタジオ撮影で、セカンドメイン記事のゆずもスタジオ撮影でした。
先々月号の表紙巻頭のエレファントカシマシもスタジオ撮影で、セカンドメイン記事のUNISON SQUARE GARDENもスタジオ撮影でした。
ね? 今月はなぜかいきなりの野外ロケ撮影号になったんですよね。

 

そもそもスタジオ撮影か野外ロケ撮影かを決める理由はなにかと言えば、特にはっきりとしたルールのようなものはありません。
アーティストのその時の気分やモードだったり、その時にリリースするシングルやアルバムの方向性をもとに、ケースごとに決めていきます。
例えばがっちりとコンセプトを固めて新たな方向性を打ち出した作品のインタヴュー記事では、スタジオでしっかりと構図やライティングを組み立てながら撮っていくとか、逆に、作品のリリースの合間やプライベートな視点で語るインタヴューの時はロケで飾らないスナップを撮るとか、そういう感じです。
まあもちろん、冬場は寒いから野外ロケ撮影は少なくなるし、ロケ撮影を組んでいたけど当日になって大雨でスタジオ撮影に変更、なんていうこともしょっちゅうあるし、絶対にスタジオでなければ撮影できません、というアーティストもいるし、本当にケースバイケースです。
 
ただ、JAPANの30年の歴史を振り返って思うのは、JAPANの場合は意外と「編集者の気分」で決めていることが多いなあということです。
「気分」という言葉があまりにも無責任だとしたら、「言いたいこと」あるいは「メッセージ」と言い換えていいかもしれません。
音楽シーン全体を見渡した時に漠然と感じる「気分」、音楽シーンの中でいろんな出来事を見ていて心の中に生まれてくる「言いたいこと」、買ってくれた読者が文字を読む前にまず写真を目にした瞬間に感じて欲しい「メッセージ」───
それらを届けるためにスタジオ撮影や野外ロケ撮影を使い分けてきたんだと思います。
 

今月号のMONOEYESの表紙巻頭の写真は、僕にとってどうしてもこの街なかのストリート・ロケ写真じゃないとダメでした。
MONOEYESというバンドが立っている場所、その姿勢、生きざま、4人の空気、そういうことが見て一発で伝わるような写真でなければならないと思った。
総J-POP化する2017年バンド・シーンとは一線を画す「リアル・ロック・バンド」の写真でなければならないと思った。
それを撮るには、ライティングされたスタジオの白い壁の前ではなくて、街角の名もない路地裏のシャッターの前でなければならない、と思ったのです。
(山崎洋一郎)


JAPAN最新号 コラム「激刊!山崎」より転載
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