日本を舞台にしたストップモーションアニメの新作。
ウェス・アンダーソン監督が日本が大好きというのは知っていたけど、ここまで日本への濃い愛情と深い理解を表した作品を作るとは誰も予想していなかったのではないか。
ベタベタした日本文化礼賛ではなく、オタク的な見識のひけらかしでもなく、日本的な感性を日本人以上に的確に表現するという、映画監督としての正攻法でその愛情表現に挑んでいるのが素晴らしい。
この作品には黒澤明の感性も小津安二郎の感性も息づいている。宮崎駿の感性も大友克洋の感性も松本大洋の感性も息づいている。
特に、黒澤明監督の作品の中にある「映画の絶対性」をストップモーションアニメに持ち込むという発想はあまりにもクリエイティブだ。
日本を舞台にした、日本に対するオマージュに溢れた映画を、日本人が観て普通に感動できるレベルのものにするという、不可能に近いことをやってのけたウェス・アンダーソン監督はやはりすごかった。
ウェス・アンダーソン監督の新作『犬ヶ島』を観た
2018.05.07 18:26