ニューウェイヴ/ポストパンクは音楽好きなら誰でも通るというジャンルではないし、老若男女誰でも知ってるスタンダード曲があるわけではないし、そもそもが日陰者というか脇役的なジャンルなのだから、好事家として物好き同士が盛り上がってればそれでいいわけで、フジロックのトリのキュアーの途中でみんなぞろぞろ帰っていこうがア・サーテン・レイシオやモノクローム・セットの来日ライブハウス公演がガラガラだろうがアンノウン・プレジャーズTシャツ着てる人の9割以上がジョイ・ディヴィジョン聴いたことなかろうが、そんなのは鼻の奥につーんと痛みを感じながら頭の中でエコー社製のドラムマシンを鳴らせばそれでよかったのである。
だがしかし、やはり作ってしまった。時代の後押しというのは間違いなくある。数年前の、音楽シーンがEDMとヒップホップとSSWで埋め尽くされた時代だったら躊躇していたかもしれないが、音楽階級社会に属していないZ世代が起こした新しい風とそれを反映したこの2、3年のシーンにおいてはこうした特集記事の有効性は増すはずだ。実際に、若い世代のアーティストほど、インタビューで「ニューウェイヴ」「ポストパンク」という言葉が出る頻度は高い。この特集がそんな今の時代に刺さるといいな。(山崎洋一郎)
ロッキング・オン最新号『ニューウェイヴ/ポスト・パンク特集』、高評価いただいています。ジョイ・ディヴィジョンとザ・キュアーのポスターも大好評です。 ニューウェイヴ/ポストパンクの逆襲──編集後記より
2022.06.12 11:54