フジロックでキャロライン・ポラチェックを観た #フジロック

なんと言えばいいんだろう。自分のボキャブラリーの限界を感じる。
僕の今年のフジロックの最重要アーティストだったキャロライン・ポラチェックのステージは、そんな期待を遥かに超える、あまりにも素晴らしいものだった。
あらゆるジャンルや潮流での文脈を超える楽曲、それを表現するヴォーカルの崇高さと威力、そしてステージパフォーマーとしての存在感と資質と技術、すべてが完璧をも超えていたと言っていいと思う。
高いレベルのアーティストでも、その完璧な瞬間を見せるクライマックスは、持ち時間の内の何度かに限られるものだが、彼女のステージはそうした起承転結のドラマに頼らずに全曲がクライマックスであるかのような高いクオリティーとエンタテインメント性がずっと持続していた。それはすごいことだ。そういう意味では、2003年のフジロックのビョークの伝説のステージをも超える万能感がキャロライン・ポラチェックのステージにはあった。そして、音と歌とパフォーマンスによって圧倒的なファンタジーを描きながら、肉体性や現実感から目を逸させない強さのようなものがその表現には貫かれていた。

やはり言葉が追いつかない。ただただ素晴らしかった。

1歳から6歳まで日本に住んでいた、そんな思い入れも彼女の心を動かしたのか、一曲目が終わったMCの時に思わず涙していた。(山崎洋一郎