アンダーワールドの新プロジェクト「Drift」が面白い! アートな映像の躍動、アグレッシブにして洗練された創造性に恍惚となるダンス・サウンド

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昨年、イギー・ポップとのコラボレーションを発表したばかりのアンダーワールドだが、現在スリリングなプロジェクトを始動させていることをご存じだろうか。その名は〈Drift〉。リリースでは、アンダーワールドが音楽、映像、物語などを発表していくプロジェクトだと説明されているが、要はこれまでも多岐に渡るアート表現を模索してきた彼らがダイレクトかつスピーディなやり方で作品群を放つプラットフォームだということだ。

2018年11月から映像つきのトラックを毎週1曲ずつ発表する形でスタートし、第1弾をエピソード1、第2弾をエピソード2とする連作となっている。オフィシャル・サイト(https://underworldlive.com/drift/)では各楽曲やエピソードの解説、カールとリックのやり取りなどがブログ形式でアップされているが、そうしたリアルタイム性の高さが本プロジェクトの醍醐味だろう。サウンドとしてはどちらもEPとしてまとめられてデジタル・リリースされているが、これはぜひ映像も含めて堪能してもらいたいシリーズである。

というのは、アンダーワールド自身も所属するデザイン集団〈TOMATO〉の一員であるサイモン・テイラーがおもに手がけた映像群が、サウンドとともに見事に五感を刺激してくるからだ。まずは〈Drift〉の初作となったシングル“Another Silent Way”の映像をご覧いただきたい。ややインダストリアルで攻撃的なビートが垂直に叩きつけられるなか、カールの声がどこか呪術的に繰り返されるこのミニマルなテクノ・トラックでは、レーシング・サーキットを「ドリフト」する車の群れのイメージが大胆な編集でカットアップされる。素っ気ないショットの連なりがむしろ、こちらの高揚感を煽ってくるようだ。


あるいは、エピソード1パート2の“Dexters Chalk”は気鋭のテクノ・ミュージシャンであるØ(フェイズ)を迎えた激アシッドかつアグレッシヴなテクノ・トラックだが、子どもが黒板に謎めいた線画や犬の絵(?)を描く様がひたすら映される。にも関わらず、アガる。『ボクー・フィッシュ』のもっともトランシーだった時期のアンダーワールドを思い出すリスナーも多いだろう、キラーな一曲だ。


曲によってはビートレスのアンビエントだったりミュジーク・コンクレート風だったり、映像もまた街の風景を写したりCG的だったりとバラバラで、じつに多岐に富んだ内容のシリーズだ。制約を設けずにかなり自由な発想で繰り広げられているプロジェクトなのではないだろうか。コラボレーションのバラエティもあるし、現在のアンダーワールドが伸び伸びとアートを楽しんでいることが伝わってくる。敢えて傾向を指摘するとすれば、90年代前半のUKテクノ的なアシッド感が強いトラックが多いことや、初期の金字塔『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』を思わせるダークなムードが漂っていることだ。

エピソード2の冒頭を飾る“Appleshine”や15分超えのテクノ・トラック“Threat of Rain”などに顕著だ。あるいは“Brussels”のように彼ららしいメランコリックな叙情性が感じられるトラックもあり、これまでの彼らの道のりをどこか幻視するような瞬間がそこここに息づいている。それらがキャリアの蓄積によって、より洗練された複雑な手法で成し遂げられているのだ。



圧巻はオーストラリアのエクスペリメンタル界の大御所であるザ・ネックスとのコラボレーションとなった“Appleshine Continuum”だ。エピソード2のラストを締めくくるトラックだが、なんと47分以上に及ぶロング・トリップである。ミニマルにサイケデリックに変幻していくエレクトロニック・サウンドは、カールのアンニュイなボーカルが導入となってグルーヴィーに展開していく。映像は中東の街の風景のコラージュだろうか。終盤、ビートが融解するなか立ち上がる美しいサウンドスケープにはただ恍惚とせずにはいられない。


この3月には〈Drift〉のエピソード3がスタートするそうだが、現在のアンダーワールドが相当自由に創造性を解き放っていることが伝わってくるシリーズである。加えて、優れてダンス・オリエンテッドでもあるので、今後の彼らのパフォーマンスにも少なからず影響するに違いない(これらのトラックで実際に踊ったら、かなりぶっ飛んでしまうのではないだろうか)。2019年はアンダーワールドの動向から目が離せない年になる。(木津毅)



エピソード1である『DRIFT Episode 1: DUST』とエピソード2である『DRIFT Episode 2: ATOM』の詳細は以下。

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