ノエル・ギャラガー4年ぶりの単独来日! 今と過去が融和したソロ10年目の感動的なステージを観た

ノエル・ギャラガー4年ぶりの単独来日! 今と過去が融和したソロ10年目の感動的なステージを観た - pic by Mitch Ikedapic by Mitch Ikeda

昨年のサマーソニックから約9カ月というショート・スパンで再来日を果たしたノエル・ギャラガーだが、単独来日ツアーとしては実に4年ぶりになる。来日の直前には6月リリースの新EPから“Black Star Dancing”が先行公開され、同じく新曲の“Rattling Rose”も本国ではすでにライブで披露済みで、つまり今回の東名阪ツアーは昨年サマソニの『フー・ビルト・ザ・ムーン?』のモードからさらにアップデートされた状況下のツアーだったと言える。

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しかし、今回のライブが感動的だったのはノエル・ギャラガーの最新形を確認できたからだけじゃない。2019年の彼の中で真新しい「今」と一度はセピア色になりかけた「過去」が見事に融和していたことが何よりも感動的だったのだ。オアシス解散から今年で10年、ノエルがひとりで歩んできたこの10年間が、彼の25年以上にわたるオール・キャリアと溶け合っていくような感覚。それはオアシス曲を現在の自分と切り離し、まるで公共財のような距離感で演っていた昨年のサマソニのヘッドライナーのステージでは感じられなかったものだ。

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“Fort Knox”で始まり、“Holy Mountain”へとリレーされるオープナーを筆頭に、前半に『フー・ビルト・ザ・ムーン?』の曲を畳み掛ける構成は昨年のツアーを踏襲している。女性コーラスを従えて……と言うかノエルと女性ボーカルのツイン・ボーカルを主体としたコズミックなソウル、アシッドハウスにヒプノティックなホーン、酩酊を誘うトレモロといったサイケデリックをどんどん重ねていく前半セットは、まさにノエルの最新モードで疾走する展開。新曲の“Black Star Dancing”はファンキーなディスコ・チューン、ノエルの思いっきり甘いヴァースの歌唱も含め、未だかつてないほどセンシュアルでセクシーな仕上がりだった。ちなみに“Rattling Rose”が未プレイだったのは残念だけれど、名古屋や大阪ではやる可能性があるかも?

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今回はソロ曲とオアシス曲を数曲ずつ交互にプレイするセットだったのだが、先述のようにその新旧にほとんど落差が生じなかったのが予想外だった。それは、女性コーラスを効果的にフィーチャーした“Talk Tonight”にせよ、ホーンを生かしたドラマティックな“The Masterplan”にせよ、それこそイントロを先導するオルガンが印象的だった“Don’t Look Back In Anger”にせよ、オアシス曲を現在のフライング・バーズの編成に相応しくアップデートしていく意思が感じられたと言うか、今のノエルが立っている場所まで引っ張り上げていくプレイだったからだろう。また、アレンジも抑え気味だった“Wonderwall”を筆頭に、オアシス曲をノエルがちゃんと自分で歌おうとしていたのも、“Little by Little”や“Half The World Away”までオーディエンスに任せようとしていたサマソニと対照的だった。

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新旧の落差を埋めていく「融和」としての今回のノエルのパフォーマンスを象徴していたのが“Dead In The Water”じゃないだろうか。『フー・ビルト・ザ・ムーン?』のデラックス版ボートラだった同ナンバーは、ラジオ番組のセッションの空き時間にノエルが歌っていたのをたまたまスタッフが録音したもので、究極の即興の産物にしてノエルのソングライティングの限りなく純化されたかたちでもある。そんな“Dead In The Water”がショウのちょうど折り返し地点で披露され、彼の普遍性の在り処が示された意味はあまりにも大きかったからだ。

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“Dead In The Water”以降の後半は“Lock All The Doors”のようなギター・オリエンテッドなロックンロール・チューンが続く。今回はリード・ギタリストとしてのゲム・アーチャーの働きが特に際立っていたと思うが、ギター・ソロもほとんどゲムに委ね、そのぶんノエルはバンマス兼シンガーとして大所帯を束ねていく役割に注力できていた。彼が「ギターから解放された」と語った『フー・ビルト・ザ・ムーン?』を作ったことで、「ギター・バンド」としてのフライング・バーズが自ずと新しい活路を見出していったことが感じられたステージでもあった。

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ノエル・ギャラガー4年ぶりの単独来日! 今と過去が融和したソロ10年目の感動的なステージを観た - pic by Mitch Ikedapic by Mitch Ikeda

本編ラストの“Stop Crying Your Heart Out”のノエル退場後に、ピンスポの中でスタンド・マイクが浮かび上がる演出もぐっときたし、オール・ラストのビートルズの“愛こそはすべて”のカバーも、ブラスやオルガンを賑やかに奏でる楽団ノリが楽しく、まるでオリジナル曲のように豊かな広がりを生み出していった。マンチェスター・シティも優勝し、オーディエンスから沸き起こったチャントにも嬉しそうなドヤ顏で答えていたこの日のノエルは心身共に絶好調で、声の調子も文句なし。名古屋、大阪もお楽しみに!(粉川しの)

ノエル・ギャラガー4年ぶりの単独来日! 今と過去が融和したソロ10年目の感動的なステージを観た - pic by Mitch Ikedapic by Mitch Ikeda


<SETLIST>
Fort Knox
Holy Mountain
Keep On Reaching
It's A Beautiful World
She Taught Me How to Fly
Black Star Dancing
Talk Tonight
The Importance of Being Idle
Little By Little
Dead In The Water
Everybody's on the Run
Lock All The Doors
If I Had a Gun...
In the Heat Of The Moment
The Masterplan
Wonderwall
Stop Crying Your Heart Out
(Encore)
AKA... What A Life!
Half The World Away
Don't Look Back in Anger
All You Need Is Love
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