魔法使いに年齢なし!と確認させてくれた才人トッド・ラングレン、会場を興奮させた名曲連発のライブを観た

魔法使いに年齢なし!と確認させてくれた才人トッド・ラングレン、会場を興奮させた名曲連発のライブを観た - pic by Hiroki Nishiokapic by Hiroki Nishioka

これまで幾度もマジカルなライブを聴かせてくれたトッド・ラングレンだが、今回は昨年末に出版した自叙伝『The Individualist: Digressions, Dreams & Dissertations』に基づいたツアーで、セットリストも96年までのキャリアに沿ったもので構成されるというのだから、始まる前から客席のワクワク感はきわめて高い。

楽器類が置かれただけのシンプルそのもののライブは74年の『Todd』からの“I Think You Know”でスタート。ここからくり広げられるミステリー・ツアーへの導入として完璧ならば、力強いライブ・バージョンでバンドのポテンシャルの高さが一発でわかるのも、さすがトッド。と思っていると“Open My Eyes”、“Hello It's Me”と観客の誰もが大好きなナッズの名曲が連発され、さらに“I Saw the Light”までが飛び出し会場全体のスウィング感がすごい。<時代を越える魅力を持つポップスとは?>との答えがここにある。

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トッドと共にそんな世界を創り上げるバンドも素晴らしく、ギターにジェシー・グレス、キーボードは元カーズのグレッグ・ホークス、ドラムスがプレイリー・プリンス、サックスやフルートなどにボビー・ストリックランド、そしてひときわ大きな声援を受けるベースがユートピアのカシム・サルトン。それぞれトッドと長い親交を持つ腕利きばかりだが、トッドのバンド・メンバーになるということはインストだけじゃなく歌も求められるのが宿命で、もちろん今回もバッチリ決まり、さまざまなハーモニーや3声のバックコーラスのなんと気持ちの良いことか。

『Initiation』('75)からの“Real Man”を軸にしたパートで前半終了となるが、ここまでですでに15曲以上。15分のインターバル後、ファンの女性が通訳を務めてとてもフレンドリーな雰囲気を作り上げたQ&Aコーナーがあったあと、本ツアーのテーマ曲“The Individualist”が力強く演奏されるが、休憩中の微調整のせいか、それともトッドやメンバーもカジュアルな服装に着替えたせいなのか、前半以上にサウンド全体のバランスや細かいニュアンスが良くなっている。

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“Black and White”(『Faithful』)、“I Don't Want to Tie You Down”(『A Wizard/A True Star』)、“Determination”(『Hermit Of Mink Hollow』)など、人気アルバムからのナンバーが次々と演奏され、本編が『The Ever Popular Tortured Artist Effect』からの“Drive”で締めくくられ、アンコールのパワフルな“The Want of a Nail”で会場の熱気は頂点に達した。

鋭いファルセットからソウルフルなシャウトまで、まったく衰えることのないボーカル、そして今回も弾きまくってくれたギターなど、どこをとってもこのライフ・ヒストリー企画が、単なる懐古じゃなく、ロック界きっての才人ぶりを再確認させる、文句無く楽しい一夜だった。(大鷹俊一)

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<Setlist>
How About A Little Fanfare?
I Think You Know
Open My Eyes
Hello It's Me
We Gotta Get You A Woman / I Saw The Light
Black Maria
An Elpee's Worth Of Toons
Sometimes I Don't Know What To Feel
Too Far Gone
A Dream Goes On Forever
The Death of Rock and Roll
Can We Still Be Friends
Real Man / Love Of The Common Man
Couldn't I Just Tell You
Fair Warning/Real Man
The Individualist
Black and White
I Don't Want To Tie You Down
Determination
Cliche
Drive
The Want of a Nail
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