【決定版!総まとめ】コールドプレイ、ベック、ポスト・マローンにヤングブラッドらによる自宅カバー・ライブを総特集! GWはこれを観ながらステイホームしよう!


先の見えない不安な日々が続いています。明日の自分たちがどうなるのかもわからない一方で、既に「アフター・コロナ」の世界について様々な予測・憶測が悲観楽観入り乱れて叫ばれ始めてもいて、実際このパンデミックが終息と呼ばれる状況になった時には、世界は大きく変わっているだろうことは間違いありません。

今はそんな大きな変化を前にした恐慌の時代でもあり、同時に各国あちこちでセルフ隔離が進んだ内省の時代でもあって、アーティストたちの活動もスローダウン、もしくはポーズ・ボタンを押された一時停止状態を強いられています。

遠くない未来、この数ヶ月(もしくは数年かも?)を経験した彼らの音楽表現もまた激変していくことになるでしょうが、今はその前夜と言うか、アーティストたちが巣篭もり生活の中で自分と向き合っている時期なのかもしれません。

そしてそんな時期ならではなのか、ご自宅からのローファイなライブ配信で他アーティストのカバーを披露する人たちが続出しています。それが横の繋がりによって大規模なチャリティにつながることもあれば、ごくごくパーソナルな弾き語りとしてそっと届けられることもあります。

とにかく、アーティストのカバー・ライブがこれほど頻発するのも珍しいこと。ここではロックダウン下で活発化しているご自宅カバー・ライブをいくつかピックアップしてみました。

日本でも地上波放送されるなど大きな話題を呼んだ『One World: Together At Home』の他にもアーティストのチャリティは数多く行われていて、カバー企画はその定番となっています。

例えばカナダではジャスティン・ビーバーブライアン・アダムスら総勢25人のカナダ人アーティストが集結し、新型コロナウイルス救済支援としてビル・ウィザーズの“Lean On Me”をカバーし、チャリティ・シングルとしてリリース。


イギリスではBBC Radio 1が「Live Lounge Allstars」と題した企画を始動。コールドプレイのクリス・マーティンやデュア・リパファイヴ・セカンズ・オブ・サマーロイヤル・ブラッドフー・ファイターズの“Times Like These”をカバーした豪華企画で、同カバーはチャリティ・シングルとしてリリースされ、ウィルスの影響で困難に陥った人々を支援すべく英チャリティ団体「Children In Need」と「Comic Relief」に寄付された。


「COVID-19 Solidarity Response Fund for WHO」のチャリティとして、ポスト・マローンニルヴァーナのトリビュート・ライブを生配信。

ポスティーのニルヴァーナ愛が炸裂した充実の全15曲で、ドラムスはBlink-182のトラヴィス・バーカーが担当。現在はアーカイヴを観ることができる。彼の自宅だろうか、ごちゃっとしたバー?キッチンの様子が伺えるのも楽しいです。


「No Fun Mondays」と題して毎週カバー動画をアップしてくれているのがグリーン・デイのビリー・ジョー。

詳しくはこちらの大鷹俊一さんのコラム(https://rockinon.com/blog/yogaku/193661)をお読みいただければと思うが、個人的にはスザンナ・ホフスとの遠隔コラボでバングルスの“Manic Monday”をカバーした週が大好き!これぞご自宅ライブの醍醐味であるリラックスしたビリーの様子と、この曲のリリカルさがベストマッチ。


遠隔コラボと言えば、ヤングブラッドとマシンガン・ケリーがそれぞれの自宅からオアシスの“Champagne Supernova”をジョイント・カバーしたのも楽しかった。ヤング・ブラッドは……これはバスルームなのだろうか?いわゆる「風呂場リバーヴ」のかかったボーカルに注目。


マシンガン・ケリーはこの他にも積極的にジョイント・コラボをしていて、トラヴィス・ベイカーとはパラモアの“Misery Business”をカバー。こちらはヤングブラッドとのコラボとは真逆の思いっきりハイボルテージのパンク・カバーに。


パラモアと言えば、ヘイリーがセルフ隔離生活の中でフィービー・ブリジャーズの“Smoke Signals”の美しすぎるアコースティック・カバーを披露。すっぴん&普段着のヘイリーの日常が垣間見える。


自宅ライブを普段着のままでやるか、それとも一応それなりに身なりを整えてからやるか、そこはアーティストの性格ではっきり別れるところ。

ぐしゃっとなったベッドの寝起き感も含めて「ワンルーム・マンションにひとり暮らしの大学生かな?」的な親近感が持てたのがトム・ミッシュ。ニルヴァーナ“Smells Like Teen Spirit”をメロウなインストでカバー。


一方、マスクをしていても問題なく歌えることを証明したのがオフスプリング。アメリカで推奨されている6フィートの対人距離もしっかり遵守。

ちなみにカバーしているThe Clinton Johnson Band “Here Kitty Kitty”は、Netflixで話題沸騰中のドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者!?』に登場するヤバすぎる私設動物園園長、タイガー・キングことジョー・エキゾチックのカバーで有名になった曲。


イギリスではコロナウィルスと最前線で戦っているNHS(国民保険サービス)を支援するチャリティが次々に立ち上がっている。

リバティーンズフラテリスキャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン、アラン・マッギー、ザ・ズートンズキャストら錚々たるバンドのメンバーが集結、その名も「Indie Allsters」によるシェッド・セヴン“Chasing Rainbows”のカバーもそのうちのひとつ。

レインボー・カラーは医療従事者らに支持と感謝を表明するキャンペーン・カラーになっていて、そういう意味でもこの曲はぴったりなのではないか。


カサビアンのトム・ミーガンもNHSに感謝の念を込めてジョン・レノンの“Imagine”とモンキーズの“Daydream Believer”をアコースティック・カバー。


UK勢ではブロッサムズのご自宅カバーの数々がクオリティの高い仕上がりで注目を集めている。メンバーの各自宅で録った映像のタイミングを合わせた画面割りなど、編集作業まで含めて手が込んでいて。こちらはマイルズ・ケインとのコラボでテーム・インパラの“The Less I Know The Better”をカバー。


ビートルズの“Paperback Writer”のカバーも最高!ドラムのジョーのご自宅ならではのアイデアマンっぷりが楽しすぎる。


ザ・ナショナルのマット・バーニンガーは米TV番組「The Late Show with Stephen Colbert」の企画でマーキュリー・レヴの“Holes”をカバー。なお、同カバーはマットが「Planned Parenthood」へのチャリティとして今年2月に7インチ・リリース済だ。


最高のマリアージュとなったそんなマット・バーニンガーとマーキュリー・レヴのコラボのように、こんな時期だからこそ自分が愛する曲、リスペクトするアーティストに真摯に思いを伝えるようなカバーをやってくれている人たちも多い。そういう意味ではニール・フィンのデヴィッド・ボウイ“Heroes”のカバーは理想的。


ベックビッグ・スターのクリス・ベルの“I Am The Cosmos”をカバー。こちらも愛にあふれています。


また、個人的に大好きなのがエンジェル・オルセンのロキシー・ミュージック“More Than This”のカバー。カメラのセッティングのぎこちなさ、遠すぎる距離、諸々の慣れてなさが帰って彼女の歌を純化している。


新型コロナウィルス感染症で亡くなったジョン・プライン、ファウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーへの追悼の念を込め、多くのアーティストが彼らのナンバーをカバーしている。プラインと長年の友人同士だったロジャー・ウォーターズは“Pardise”をカバー。


デス・キャブ・フォー・キューティーのベン・ギバードは、ファウンテンズ・オブ・ウェインの“Barbara H”をカバーしている(42分頃から)。

まだまだ続くステイホームの日々、これらの映像でアーティストたちと巣ごもりの感覚を共有していただければと思います。(粉川しの)
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