引き続き、溢れる愛が止まらない!グリーン・デイ、ビリー・ジョー・アームストロングのYouTubeカバーソング配信レポート第2弾。「さすがビリー」なその選曲に注目!
2020.04.21 20:20
多くのアーティストが立ち上がった<One World:Together at Home>でも“ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ”をじっくりと歌い込み、大切な人への思いを訴えたビリー・ジョー・アームストロング。
本ウェブでも鈴木美穂さんが4月2日に「グリーン・デイ、ビリー・ジョーのインスタグラムが愛に溢れてる!フードバンクへの支援、そして思案の末に辿り着いた「No Fun Mondays」。やっぱり、ファンで良かった!!!」と題して、素晴らしいブログを寄せられていた(必読!)。
そこでも最後に触れていたように、「No Fun Mondays(楽しみがない月曜日)」をぶち破ろうと、毎週、わくわくするカヴァーをリリースしてくれ、この時点でもう4曲が出てきている。
その光栄なトップにセレクトされたのがジョニー・サンダースの“You Can't Put Your Arms Around a Memory”というので、さすがビリーと嬉しくなった。朴訥とした歌いっぷりは本家に通じるものだが、思うのは、さて、ジョニー・サンダース、どれだけの人に知名度があるのかということ。
元ニューヨーク・ドールズ、ソロとしても活躍云々といった情報はすぐにネットで出てくるだろうし、ドラッグまみれ、破滅型ロッカー伝説そのものの人生に呆れられるかもしれないが、強調しておきたいのはソングライターとしてのジョニーの才能で、ビリーが取り上げたこの曲はそれが一番ストレートに表れている。
他にも“Born To Lose”や“Sad Vacation”やリチャード・ヘルと書いた“Hurt Me”、“Chinese Rocks”、ニューヨーク・ドールズ時代の“Personality Crisis”、“Subway Train”等々、元祖パンクスの鋭いギター・プレイと同時に、どこか必ず鋭い甘さが隠れるソングライティングはこの人にしかなかったもの。
ぜひこの機会に聴いてくれたらビリーも最高に喜んでくれるはずだ。
https://www.youtube.com/watch?v=IAzkd4uh5SE
その翌週はなんと80年代米ガールズ・バンドの代表、バングルスが86年に全米2位としたヒット“Manic Monday”で、これは当時、バングルスが大のお気に入りだった殿下、プリンス(!)が書いたナンバーで、おそらく十代のビリーには印象深いポップス・ヒットだったのだろう。
バングルスのヴォーカル、スザンナ・ホフスとセッションするかのような映像は、まるで自身の昔のアルバムを見返すような気分なのか。
https://www.youtube.com/watch?v=j5qPCKxlw2M
そして3週目の4月13日に配信されたのは、伝説的なサンフランシスコのパンク・バンド、ジ・アヴェンジャーズの“Corpus Christi”だ。70年代後半当時のサンフランシスコ・パンクはデッド・ケネディーズを筆頭に、もっともロンドン・パンクに通じる動きがあっただけにビリーにとっても重要なナンバーなのだろう。
で、ジ・アヴェンジャーズがパンク・ファンに知られているのは、なんといってもセックス・ピストルズのラスト・ギグ、78年サンフランシスコ・ライヴでのオープニングを務めたからで、その縁からピストルズのスティーヴ・ジョーンズがEP『Avengers』をプロデュースしており、今回ビリーが取り上げたのもそこに入っていたナンバー。
今回の映像はシンプルに歌詞だけ映し出すもので<聖体祭>を掲げた曲は、アンチ・クライストを叫んだピストルズからの流れを汲んだもの。
https://www.youtube.com/watch?v=Nh7ZtB6wFoY
そして今週、配信されたのはなんと、映画『すべてをあなたに』('97)のタイトル曲“That Thing You Do!”で、まさに新型コロナウイルスで4月1日に亡くなったファウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーが書いたナンバー。
60年代にビートルズが巻き起こした旋風をモチーフにした映画は、トム・ハンクスが長年暖めていた企画で、彼自身が監督、そしてビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインを彷彿とさせる役で出演している。
https://www.youtube.com/watch?v=MmmlCumELJY
アダムへの追悼はもちろん、初期の段階で新型コロナに感染を発表し、無事に回復したトム・ハンクスへの思いも込められたピックアップで、改めて60年代のエッセンスが詰まったナンバーに癒やされるし、ビリーの腰の据わった取り組みには、ますます目が離せない。(大鷹俊一)