次に進む道、見えた

木村カエラ『MIETA』
2014年12月17日発売
ALBUM
デビュー10周年の今年、ベスト盤を発売し、記念ライヴなども行ってきた木村カエラが、新作をリリースする。次の10年に向けた意気込みを示すように、もう一度やってみようと宣言する“one more”から始まるアルバムは、ポップでロック。優しく包みこむバラードもある。とてもカエラらしい内容だといえるが、シングル曲“TODAY IS A NEW DAY”で今日は新しい日と歌ったように、気持ちはリフレッシュされている。同じことの繰り返しではない。ゴリッとしたパンク・サウンドを楽々乗りこなす“c'mon”などからは、これまでの音楽経験で一回り大きくなった彼女の姿も感じられる。

特に印象的なのは、アルバムタイトルになっている“MIETA”だ。オーケストラの壮大な演奏が鳴ったかと思えば、忙しいリズムの上で断片的なノイズが飛び回る。そこでカエラは、新たな出会いや新しい自分を発見する喜びを歌う。今の彼女のモードを象徴している曲だろう。風変りなこの曲には、素直に世界と向きあい、それを受けとめようとする態度が現われている。彼女は、また力強く歩み始めた。(遠藤利明)