僕たちには旅が必要なのさ

シャムキャッツ『TAKE CARE』
2015年03月04日発売
MINI ALBUM
シャムキャッツ TAKE CARE
2014年を象徴するアルバムのひとつである前作『AFTER HOURS』の続編である本作。

前作に引き続きシティポップ、ネオアコをベースとしつつ、ギターは叙情的で、ベースラインは生き物の鼓動のよう。夏目(Vo・G)の歌声は慈愛に満ち、4人の奏でる音のひとつひとつが栄養豊かでバンド史上最も流麗なメロディを紡いでいる。

そして、《どうしてここにいたいのか/たまにわからなくなるのさ》(“PM 5:00”)とぼんやりと現在地への自問自答をし、《伝えたいことを考えておかなくちゃ いつだって/だってその時がいつくるのかわからないもん》(“WINDLESS DAY”)と来るべき静かな旅立ちへの準備を予感させる。

前作で青春のその後の日常を描き、本作でその季節に『TAKE CARE』と別れの挨拶をする様は、人が次へ進んでいくために必要な何かへの別れのよう。そういう意味で本作は彼らがさらなる進化と深化に向かっている証なのだろう。いつの時代もどこかを去るときはセンチメンタルな気分になるし、本当に大切ものは大して変わらない。そんな当たり前のことがたまらなく愛おしくなる、色香漂う快作。(岡崎咲子)
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