他の誰でもない、君のためのロック

go!go!vanillas『バイリンガール』
go!go!vanillas バイリンガール
ロックが輸入文化である日本人にとって、「ロックする」ということはしばしば「洋楽の伝統的なロックを上手にコピーしたり翻訳したりする」という型に嵌りがちだ。表現する人も批評する人も「どれだけ洋楽ロックに近づけるか」を尺度にしていては、本当に自由で自立した邦楽ロックにタッチすることは出来ない。go!go!vanillasを初めて聴いたとき、そのロックンロールの巧みさに驚かされたのと同じくらい、「洋楽ロックへのコンプレックスの無さ」に驚かされた。ロック史に広く深く根を伸ばしているのは分かるのに、青く活き活きとしたサウンドや、咲き乱れる日本語の歌の方がずっと注意を引く感じ。アルバムに続くメジャー初のシングルは、恐らく某ユーチューバーは関係なくて、「言葉」を持て余した失恋女子のストーリーを鮮やかに描き出している。なんて雄弁なロックなのだろう。また、東京と大阪でファンと交流しつつ楽曲の原型を生み出したダンス・ポップ“トロピカリア”にしても、或いは泉谷しげる“春夏秋冬”の情感溢れる名カヴァーにしても、気負いなく軽やかにロックを使いこなす姿が痛快だ。(小池宏和)
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