自由な音楽を奏で続けるために
PE'Z『Samurai Jazz only one ensemble COVER SELECTION』
2015年05月20日発売
2015年05月20日発売
ALBUM
年内での解散を発表したPE'Z。航の公式コメントでは「いつの間にか、PE'Zはこうあるべきだとか、こうしなくちゃとか、5人全員が考えるようになってしまった」というような言葉があり、なるほどなと思った。彼らが結成以来常に求めてきたのは音楽の圧倒的な自由さであった。その自由さを表現し続けるためにはPE’Zというカテゴリーさえも、少し窮屈になったのかもしれない。そして、ラストアルバムはカヴァーソングを纏めたベスト盤という選択。これが実に彼ららしい。JAZZという音楽が多様な要素を包括する懐の深いものであること、カヴァー曲でも、というか、カヴァー曲だからこそオリジナリティーと自由度が際立つということを、あらためて実感させてくれる。昭和の名曲“かもめが翔んだ日”からストーンズ“She’s a rainbow”、 はたまた“花笠音頭”まで、どんなジャンルの楽曲も素晴らしく奔放なアレンジで、耳にした瞬間から体が反応する。これから先も自由な音楽を奏で続けるていくために、その門出を自らがセレブレイトするような華やかなアルバムだ。しかしやはり解散は惜しい。(杉浦美恵)