現代英国ロックの真髄

エディターズ『イン・ドリーム』
発売中
ALBUM
エディターズ イン・ドリーム
前作『ザ・ウェイト・オブ・ユア・ラヴ』は、マジで天から降り注いでくるかのような傑作だった。デビュー・アルバムから作品ごとに音楽性を変化させてきたエディターズがキャリアを統合的に昇華しつつ、トム・スミスの天賦の歌声の魅力を最大限に引き出していたと思う。

それに続く最新アルバムは初のセルフ・プロデュースでミックスには名匠アラン・モウルダーを起用。一昨年の来日時にドラムのエドが「どんなにR.E.M.が大好きで、彼らみたいな音を鳴らそうとアメリカで録音しても、自分達の鳴らす音はブリティッシュになってしまうんだ」と話してくれたが、こうしてスコットランドで録音した最新作を聴いていると、やはりどこかに米国的な深みを感じさせるところが、このバンドの面白さであり強みであり、逆にイギリスらしさを際立たせているなと改めて思う。ややエレクトロニックの要素を戻しつつも効果的な味付け程度にとどめ、“サルヴェーション”のオーケストラ・アレンジもばっちり。荘厳とか幽玄といった大仰な表現とはまた少し違う彼らならではの絶妙な情感が精緻にちりばめられつつ拡散していく。(鈴木喜之)
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