前作『ホーリー・ファイア』が全英2位、本作でも3位と、UKインディ高踏派としてのステイタスを確固たるものにしたフォールズ。本作は彼らにとって最初の着地点となる1枚だ。すかすかの骨組みのマス・ロックからスタートし、『トータル・ライフ・フォーエヴァー』で視界を一気に広げ、『ホーリ―~』で一気に深化し、そうして手に入れた三次元の空間に、未だかつて無い密度でパワーを充填していったのが本作だ。フォールズ史上最もヘヴィでもあるそれは、これまで思想を深め修練してきたアイディアの数々が、具体的なかたちや動きに変換されていくダイナミズムゆえだ。“ナイト・スウィマーズ”のようなダンス・ビートを巧みに組み入れたナンバーを聴くとジェイムス・フォードがプロデュースというのも納得だけど、本作の密度の前ではダンスはほんのエッセンスにすぎない。直感と反射神経の鋭さを感じさせる前半のグルーヴ・チューンも最高だが、ラストの“ア・ナイフ・イン・ザ・オーシャン”を筆頭に、複雑怪奇なプログレなのに恐ろしく直接的な興奮を呼び起こしていく後半のナンバーに、彼らの歩みの正しさを見る思いだ。(粉川しの)