ロックを疑った果てに鳴るロック

小林太郎『URBANO』
発売中
ALBUM
小林太郎 URBANO
今年2月のEP『DOWNBEAT』でダンスミュージックへと踏み込んだことで、小林太郎のロックは明確に変わった。世界を疑い己を疑いながら、それこそ絶対的なくらいにロックを信じ、その歌と衝動を託してきた小林太郎が、前作アルバム『tremolo』から約2年半ぶりとなるメジャー2ndフルアルバムとなる今作で鳴らしているのは、4つ打ちビートとともに響くギターサウンドがどこかハイブリッドな冷徹さを帯びて広がってくる“tachikiru melody”であり、AORとグランジがソリッドなサウンドの中でとぐろを巻く“伽藍堂”であり、ヘヴィ&インダストリアルな質感のサウンドを聴かせる“アイムレス”であり……つまり、その批評眼を魂のマグマのはけ口としてのロックにも向けることで、ひとつひとつの音の妖艶さと強度が増した音楽世界である、ということだ。そして、そんなシビアな視線をくぐり抜けて結晶した今作の11曲は、彼自身がそれでも生きるための必然としてロックを体現するアーティストであることを雄弁に物語っている。バラード曲“花音”“光”の美しさに、抑え難く胸が震える。(高橋智樹)
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