そして驚異の才能だけが残った

ジャスティン・ビーバー『パーパス(デラックス・エディション)』
発売中
ALBUM
ジャスティン・ビーバー パーパス(デラックス・エディション)
優れた音楽が、今日においてどれだけコミュニケーション・ツールとして機能するか、ということの指標になり得る作品である。僕は、彼のことを好きでなかった者の一人だ。なぜ歌が上手いのにリップシンクを使っているんだ、周りの大人達は何をやっているんだ、と怒ったりしていた口だ。スーパー・スターとはいえ、10代のジャスティンは当たり前に子供であった。数々の騒動を巻き起こして、21歳になった彼はその才能を反省と償いと対話のためにフル稼働させる。表題どおり、明確な「意図」だけで生み出されたアルバム、それがこの『パーパス』というわけだ。

ジャクソンズが良質なディスコを乗りこなしたように、ヒップホップやダブステップ以降のビートを優れたシンガーたちが乗りこなしてきたように、ジャスティンはEDMを乗りこなし、ビートをつぶさに捉えて思いの丈を伝える。それが今日において最先端のポップ・ソングになっている。世論に捉われることなく、ジャスティンのメッセンジャーとしての資質を引き出していたジャック・Üの二人は凄かったのだな、と痛感せざるを得ない。この歌を日本でもさらに聴きたい、と願う。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする